最後の晩餐にはまだ早い


流行るレストランとは

 今回は「食事レポート」を離れて、今年前半が経過した事もあり、最近のレストランで感じている事を少し書いてみたいと思う。

 「失われた20年」「百年に一度の大不況」等、ここ数年の日本の不景気を指摘する声は各方面から聞こえる、少し上向いた時にリーマンショック、それから立ち直りかけた時に起きた東日本大震災の影響は想像以上に大きかったと思う、震災後に限っても老舗レストランの閉店や、ベテラン料理人の引退情報を度々聞く事になった、30年以上食べ歩きをして来た、私のようなオールドファンにはとても寂しい事だ。夜に客単価1万円以上取るレストランでは、週末は別にしても平日夜は「開店休業状態」店も増えていると聞く、今お客が入っているのは客単価3千円前後の居酒屋系が中心ではないだろうか、でも「客が入らない」と嘆いているだけでは前進しない、今年何店か利用してみて、今流行っているのはどういう店なのか、そして今後の方向性を考えてみたい。

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・「料理は5,000円台」
 今から15年位前に、パリで第1次の「ネオ・ビストロ」ブームが起きた、代表的な店は「レガラード」「ロス・ア・モワル」「ラルドワーズ」「シェ・ミシェル」等で、料理は200フラン以内が目安、これを東京に輸入したのが「3,800円レストラン」だった、当時の為替レートなら妥当な線、パリではこれらの店はまだ健在だが、東京では殆どなくなってしまった、長く続いた四谷「スクレ・サレ」も先日閉店したと聞く、それに替わって増えているのが「料理は夜でも5,000円台」の店、その代表格が青山のフランス料理「L’AS」だが、この他にも最近オープンの店ではこの価格帯が多い。料理が5,000円ならワインを飲んでも支払いは一人1万円前後で済む、今の平均的サラリーマンの財布を考えたら、これでも贅沢と言えそう、でも「ちょっと贅沢だけれど、月に一度はそうした気分になりたい」、日本人の中流意識にはこう思わせるのが大事で、「倹約はするが、たまに他人とは違った事をしたい」サラリーマン&OLを店に呼ぶには妥当な金額だと思う。

・「メニューは一種類、中身はお任せ」
 3,800円料理が全盛の時は「プリフィクス」が中心だった、前菜・メイン・デザートを数種類用意し、客はその中から食べたい物を選ぶ、ただこの方式の欠点は食材のロスが出やすい事で、ランチに回して値段を下げたら仕入れに対して結局採算が取れない事になる、そこで生まれたのが「店側に全ておまかせ」のメニュー、和食の世界では以前からあったが、最初から最後まで料理は全て店側が決める事になる、アレルギーや苦手な食材がある場合は、あらかじめ申し出れば大抵は他の食材に変更してもらえる、料理は少量多皿で6~7品以上を提供する、フランス料理でこれを始めたのはパリの「アストランス」だったと思うが、違っていたらご教示願いたい、これにより店側は食材ロスを極力カット出来る様になった。
 ついでに言うと「労多くして益少ない」平日ランチはやらない店も増えている、ランチ営業をするなら客単価UPの狙える週末だけにする。

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・「少数精鋭主義」
 人件費を極力抑えるために余分な従業員を雇わない、席数が20以内なら厨房は1人か2人、客席は1人で回す、労力を省くためにテーブルクロスは省略し、予約も電話ではなく「オープンテーブル」等を使って、出来るだけネット上でしてもらう。店のWEBページを充実し、フェアやメニューの紹介をする、お金のかかるダイレクトメール等はやらない。

・「カウンター」
 東京でも大阪でもカウンターだけの店が増えていると感じている、家賃を抑えるために店舗面積を小さくし、料理は少量多皿、従業員も少数精鋭で店を回すとしたら、和食の「板前割烹」の形態に行き着くのは当然だろう、これは今後も増えそうな気がしている。

 ここ暫くの間は、今の経済状態が好転するとは思えない、だからと言って様子を見ているだけでは、料理人としてのキャリアアップのチャンスを逃してしまう、自店を開業してもお客が来てくれない事にはどう仕様もない、そうなると上記の様な店から第一歩を始めるのは正解かも知れない、どうやらこれは日本だけでなく、パリでも似たような現状だと聞く、これは「ネオ・ビストロ・プリュス(Neo Bistro Plus)」とでも呼ぶべきだろうか(笑)。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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