最後の晩餐にはまだ早い


札幌・西18丁目「プロヴァンサル・キムラ」(2012札幌食べ続け⑦)

 3泊4日の札幌食べ続け旅行もついに最後の店になってしまった。
 4日目の昼に訪れたのは、道立近代美術館近くのフランス料理「プロヴァンサル・キムラ」、2年ぶり再訪問になるこの店を最後に選んだのは、美味しくて幸せな気持ちで札幌を旅立ちたかったからで(笑)、料理もそうだがこの夫婦二人で営む温かいおもてなしの店は、一度行ったら忘れられない魅力に満ちている。

 遠くからでも目立つ見覚えのある黄色い外観の店に入ったのは昼の12時だが、既に2組着席していて、私の後に来た夫婦も含めて全て常連客みたいで、接客を担当するマダムと皆親しげに会話をしていた、現在調理場は団体客が入った場合等以外は全て一人で担当しているらしく、そのためか料理人は客の退店時しか客席には出ない、調理場一人客席一人の最低限の配置だが、それでも全く不都合は感じさせないのは立派、このあたりは先行して個人レストランとして経験を積んでいる強みもありそうだ。

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 通常のランチコースではなく、あらかじめお願いしていた夜昼共通の「旬のおすすめコース」で、肉料理は3種あるうちから獲れてからまだ日が浅いと聞く、蝦夷鹿を注文する事にした。

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・アミューズ(イカと野菜のグラタン)

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・ビーツのコンソメジュレとカブのムース、カラスミとイクラ

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・カナダ産リー・ド・ヴォーとキノコのソテー、生ハム

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・タスマニアサーモンのポワレ、旭川の産直野菜

・パスティスのソルベ

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・フレッシュな蝦夷鹿のステーキ、ソース・ポワヴラード、リンゴのピュレ、黒大根と栗

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・イチジクのコンポート、ロックフォールチーズソース

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・栗のクリームを包んだビオの栗粉のクレープ、マダガスカル産バニラのグラス
・ミニャルディーズ(マカロン、カリソン他)

 木村料理長の料理は私とケミストリーが合う(笑)、「Miya-Vie」の鋭角な洗練や「ラ・ブランシュール」の凝縮した端麗とは違って、あくまでも手法は正攻法でフランスそれもプロヴァンスに根差したもの、30歳代の若手料理人達が作る、スペインや北欧が混ざった最先端の料理とは少し方向が違うが、食べてどこか懐かしく温かく、しみじみと美味しい。フランスそれもパリではない地方都市の、地元民に愛され支持されているレストランで食事をした時みたいな感じと言えば、フランス通の人なら多分判ってもらえると思う(笑)。

 北海道の野菜は美味しいが、特にこの店は料理長の実父が旭川で農園をやっていて、そこから直送される野菜を主に使い、新鮮で輸送ストレスの少ない美味しい野菜を食べる事が出来る、この素晴らしい野菜達がある事で、北の地で「プロヴァンス」を再現出来るのだと思う。
 肉料理で料理長が「特にお薦めしたい」と言った本場の蝦夷鹿は、若鹿の猟をしてから日が経たず、寝かせて(熟成させて)いないもの、ノエルの頃に東京で食べられる熟成した赤身の鹿が「戻り鰹」だとしたら、これは初夏の頃のフレッシュな「下り鰹」の鮮度で、この若々しい美味しさは東京ではまず味わえないだろうと思う。
 この店のデザートはフランス的に甘さも濃さもあり、今回訪れた店の中では最上位に挙げたいものだった。

 そしてこの店の魅力を更に増しているのが、ソムリエールも兼ねる素敵なマダムのサービスで、常連客達も彼女と話をするのが楽しみで来ている様にも感じられた。
 他の客が帰った後に料理長とマダムと揃って話しをする事が出来たが、9月にプロヴァンスとパリに研修に行かれて来たそうだ、そのせいだろうかこの日の料理には日本のフランス料理とは少し違う、フランスの香りが十分感じられるものだった。
 最後は二人のお見送りを受け、素敵で名残惜しい時間は終わってしまった、この店は次に来る時には、思わず「ただいま」と言ってしまいそうな気がする(笑)。

 3泊4日駆け足で巡った札幌食べ続け、今回も素敵な料理と素敵な人達と出会う事が出来た、東京と同じく「外食不況」の厳しさも感じるが、札幌の飲食店で働く人とそこへ集まる人達は皆笑顔が素敵だ、真面目な仕事をしていれば何時か人は認めてくれるもの、この日本が誇れる美食の街が、これからも健在である事を願ってやまない。

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オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
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