最後の晩餐にはまだ早い


東麻布「ローブ」(2017年8月)

 前記事に続いての「友、遠方より来たる」は、同じく関西からの客人を迎えての、東麻布のフランス料理「ローブ」でした。私は昨年7月にオープンした直後に初訪問、今年の5月に再訪問を果たし今回が3回目になった、遊郭用語ではこれで「馴染み客」になる(笑)。
 通常営業では夜中心で金曜と隔週土曜日だけのランチ営業だが、8月は特例で平日もランチタイム営業する事を知り、それに乗せてもらう事に。
 麻布十番駅から歩いて到着、隠れ家みたいな階段を上って2階へ、サービス担当の関氏に挨拶しオープンキッチンに近い席に案内される。旧盆中の月曜昼、空いているのでは?と思っていたら、次々と来客があり5卓埋まった、中には知っている顔も居たが(笑)、平日でこれだけ来れば、スタッフもランチ営業する意義があったと安心すると思う。
 平瀬パティシェールと今橋料理長にも挨拶し、始まった昼メニュー、基本だと肉料理は豚だったが、プラス料金で鶉料理に変更してもらい、さらにプラスしてデセールを2品にしてもらう事に、この店へ来てデセール1品だけで帰るのはあまりにも勿体ない(笑)。

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・ウェルカムジュース(葡萄)

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・フレッシュハーブのアイスクリーム

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・この日夏風邪のため体調イマイチで、味わいが好きな福島県奥会津金山の天然炭酸水を

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・塩味のフィナンシェ

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・スペルト小麦とトリッパのクロケット

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・マグロ、生ハムとフェンネル

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・長野産夏茸、ソースサヴァイヨン、上にイタリア産サマートリュフを削って

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・アオリイカ、ケールの葉、粉末とピュレ、ストックフィッシュ(干魚)のソース

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・ウズラのファルシ、無花果の葉の包み焼、無花果とコンフィチュール

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・ババ、ピニャコラーダ、パスティスのクレーム

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・桃のコンポート、バラ花のアイスクリーム

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・宝石箱をイメージした自家製ホワイトチョコ、中はアイスクリーム

 今回の今橋料理からイメージしたのは「夏」、それも湿気の多い日本の夏ではなく、抜けるような青空の南仏での夏、思わず「ああ、太陽がいっぱいだ」と呟きたくなる(笑)。
 ウェルカムジュースからコロッケまでのアミューズは、どれも一口サイズながら印象を残す、特にコロッケはお替りしたい位に好みのツボだった(笑)。
 前菜の鮪の皿は見た目も麗しい一品、オープンキッチンなので製作過程が見えるが、最後のドレッセ(仕上げ)を平瀬さんが担当、だから余計に美しく感じる(笑)。仏サン=ティティエンヌ近郊に在って、現在はリヨン市内に移転した「Le Neuvieme Art」の料理を思い出す、あの料理長もパティシェ出身だった。
 続く茸料理は素材の勝利と云う印象、もちろんそれを生かす技術があってこそだが、ブイヨン等は使わず、炒めただけの茸からこれだけ旨味を感じさせるのは、料理はまず素材ありだなと思う。
 アオリイカ料理も今橋氏らしいと思った皿、日本で烏賊をメイン食材にする料理人は少ない、私の記憶では三田「コートドール」のカルトにあった位で、なかなか難しい材料だと思うが、珍しいケールと干魚のソースと合わせる事により、十分ガストロ料理になっていた。ウズラも今橋氏が得意な、葉を使った包み焼きをする事により、肉の旨味を閉じ込め葉の香りを加えている。黒イチジクとコンフィチュールがいい相性だった。
 今橋氏の料理からはフランス料理の基本「素材の足し算」を感じる。Aと云う要素があって、其処へ別のBの要素を加える、計算結果はAでもBでもなく、Cと云う新たな味になる。彼と同じく「南」を感じさせる料理人に、札幌「プロヴァンサル・キムラ」の木村料理長が居るが、年齢が十歳以上離れている事もあり料理の構成は違う、日本で南仏を感じたい人は、出来れば両方の店へ行って確認して欲しいと思う(笑)。
 そして今回も楽しみにしていた平瀬パティシェールのデセール2品、毎回だが彼女の「作品」に余計な解説を加えるのは野暮な事と思ってしまう(笑)、未体験の人には「一度行ってみて、そして感じて下さい」としか云えない。今橋料理と同じく多くの要素を使っているのだが、根底にあるのは「調和(harmonie)」、マッチョな男性料理人がゴツゴツとした手で作るデセールとは根底から違う、リキュール類を使っても尖らずに他と融合し、マリー・ローランサンやいわさきちひろが描く絵みたいに、全体が母性的に優しく、いつまでも此処に留まっていたいと思わせる安心感と温かさがある、全ての男性にとっての憧れ、聖母子像みたいな印象(笑)。

 食後、席に挨拶に来た今橋料理長に、料理の感想と共に「フランス料理って、儲からないですね」と思わず話してしまった(笑)、まず設備投資にお金がかかるし、機械類が故障した時の予備費も用意しないといけない、「包丁一本、晒に巻いて」では通用しない(笑)。高原価な食材を使っても競合同業種の多さから、余程の有名店でもなければ突出した客単価は取れない。今橋氏も同意して「儲けを考えたら出来ないですね、一種の文化還元的活動と思わないと続かない。」との言葉だった、客側としては嬉しいが、作る側はある意味自虐的だ(笑)。
 3回目のローブだったが、来る毎に進化していると思った、作り手が2人居るからエンジンが2つある、スタートからの加速も早いと感じる(笑)、次回も楽しみだ。

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六本木「ル・スプートニク」(2017年8月)

 5月の連休時以来の「友、遠方より来たる」で、今回は六本木のフランス料理「ル・スプートニク」のランチへ同行する事になった。
  2020年の東京五輪を控え都内ではホテル建設ラッシュで、既に竣工し営業を始めたホテルもあり、国内外へ向け宿泊客を受け入れている、特に旧盆期間中は都内人口が減るので、そこへ客を呼び込もうと、旅行会社も各種パッケージ旅行を企画している。今回同行する友人夫妻も、六本木交差点近くに最近出来た高層ホテルに宿泊、そこへ迎えに行ったのだが、エレベーターを出入りするのは外国人特にアジア系の人が大半、昔から六本木は外国人が多かったが、今は街から「溢れ出している」感じだ(笑)。
 歩いて5分もかからず店に到着、綺麗でハイソ風なマダムのグループと重なったので、彼女達に先を譲って続けて入店、田村支配人に挨拶し入口近くの4人卓へ案内された。
 私は先月に同じくランチで利用しているので、料理が変わっているのかいないのか、その辺りも楽しみだった、まずは料理全品をお見せしたい。

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・一週間熟成の甘鯛、チェンマイレッド、青林檎とホワイトセロリ

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・枝豆のチュロス

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・鮎のヴルーテ、パン・ドミーで挟んで焼いた鮎、メロンと胡瓜

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・スパイスのチュイル、フォアグラ、マンゴーパッション、ビスキュイショコラの土

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・ハモのクネル とうもろこし“ミライ”のソース

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・オマールと埼玉県産鶉のバロティーヌ、自家製セミドライトマト 、合わせたジュ、シェリーヴィネガー

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・マハタのポワレ、キャベツ、ブラックオリーブのソース

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・エゾ鹿のシヴェ、自家製セミドライピオーネとロックフォール、ジェニパーベリー

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・桃のコンポート、紫バジルの液体窒素

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・今は貴重なダージリンファーストフラッシュ

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・抹茶と和三盆のシューアラクレーム、焙じ茶のブランマンジェ

 甘鯛は前回とほぼ同じで、これは自信があるのだろう、次の枝豆チュロスも夏のスペシャリテ、鮎は前回とは違いフィレ身をパン・ドミーで挟んで焼く手のかかったもの、ヴルーテが後を引く旨さ、これ以降の料理は先月とは全て違った。ファアグラ&マンゴーは特に惹かれた皿、フォアグラテリーヌをマンゴーと合わせチュイルで挟み、下にショコラのパウダーと手の込んだものだが、有機的繋がりがあって、この組合せの必然性が理解出来た、ビジュアルも抜群。
 鱧料理はミライコーンの甘さが印象に残る、次のウズラはオマールを加える事により味が立体的になった、魚料理のマハタは西日本でよく使われる高級魚、肉質を生かしシンプルに調理、イカスミか?と思わせる黒オリーブのソースが合っている。
 そしてこの日一番印象に残ったのが夏鹿のシヴェ、シヴェと云っても煮込んではいない。まるで出来立ての餅かと思うような、舌に絡みつく鹿肉の食感に驚く、この火入れは一世を風靡したロブション「仔羊のパストラル」の真空調理を彷彿させる。食後高橋氏に調理について質問したのだが、さすがに詳しくは教えてくれなかったが(笑)、「超アナログな調理法です、おそらく僕だけしかやっていないでしょう」との答えだった。
 デセール&ミニャルディーズは安定の美味しさ、これはビストロではないガストロノミーレストランの、お金を取れるデセールだ。

 さすがは高橋料理長、今回は事情があり時間的制約があったのだが、その中でもこれだけ起承転結があり、各料理に手間をかけ、時間を開けないで出せるのは実力だろう、そして料理を食べていて、彼の本質はやはりフランス料理だと理解出来た。
 モダンスパニッシュや北欧の料理流行後、フランス料理店でも国籍不明で不思議な料理に出会う機会も増えた、作ったご本人は「最先端の料理です」と云いたいのかも知れないが、「あなたのオリジンはフランス、スペイン、北欧、日本、どれなのですか?」と、思わず訊いてみたくなってしまう、「どれでもありません、『私の料理』です」との答えが返って来そうなので訊かないが(笑)。
 高橋氏の料理はそうした場当たりを狙ったものではない、まずは食べて美味しいし、デザインも洗練され、食べ終わった後に「今日はいいフランス料理だった」と思う。

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 前回は平日だったので男性客が多かったが、この日は土曜日のためか女性客が多かった、あくまでも一般論だが、男性は料理を量やインパクトのある味で評価し、女性はビジュアルの良さや繊細さを感じる味で評価する傾向があると考えている、どちらも満足させる料理は難しいのだが、この店は上手く両立していると思った。
 「今、東京フレンチでお勧めは?」と訊かれたら、ロケーション、料理、女性二人の柔らかなサービス、値段、比較的予約が取り易い事を含め、まず名前を挙げたい一店。
 高橋料理長、田村支配人、お気遣いありがとうございました、遠路?からの客人達も喜んで帰ったと思います(笑)。


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外苑前「フロリレージュ」(2017年8月)  

 台風一過のこの日、家を出た時は小雨だったが、外苑前駅を出たら真夏炎天下の日差しになっていた、時間があったので「Franc franc青山」で食器でも見ようと思って行ったら、何と改装のためCLOSE、仕方なく太陽に炙られながら熊野神社までトボトボと歩き、開店まで神社の木陰で涼む事に、そこへ3ナンバーの高級車に乗った若い男女数人が現れ、神道に沿った正しい礼拝をして、また車で去って行った、白日夢みたいな場面に遭遇する(笑)。
 その熊野神社横のSEIZAN外苑ビルの地下にあるのが「フロリレージュ」、6月以来のランチ訪問をする、今年はこれが4回目で今の処フレンチでは最多記録だ。
 ランチ一番乗りになってしまったが、若いスタッフ達が下準備に励んでいる、そこへ奥から現れたのが川手料理長、この登場の仕方は演奏会での指揮者にそっくり(笑)。相変わらず日本だけでなくアジアや欧州と飛び回っているが、疲れを感じさせない元気さがある、挨拶をして始まったのが全8品の料理、まずは全品を紹介する。

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・投影、茄子
 茄子のピュレを紫人参と合わせて、波型の器も食べられる。

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・牡蠣 赤紫蘇
 北海道産牡蠣とフロマージュブランと合わせ、上に赤紫蘇で作ったゼリーのフィルム、「コプチャン」と呼ばれる牛小腸揚げを添えて

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・マグロ ゴーヤ
 和歌山沖産鮪をごく軽く炙って、ゴーヤと青柚子を合わせて

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・黒トリュフ 卵
 ミニパンの中に豪州産黒トリュフを相性のいい卵と、フォアグラとトリュフのアイスクリーム

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・若鮎 生姜
 鮎のベニエの上には生姜の薄切り煮、山椒のクリーム、口直しのトマト水を添えて

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・分かち合う
 宮崎産黒毛和牛のロースト、その上に「お焦げ」、えごまピュレ、赤ワインソース

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・ブランマンジェ、マンゴー
 名前のとおりです(笑)。

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・贈り物、アマゾンカカオ
 伝家の宝刀?ショコラオムレット

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・奈良産烏龍茶

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・巨峰のパートフィロ

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・この日のドリンクペアリング(一部)

 アミューズの茄子の扱いがいい、これで「掴みはOK」(笑)。次の牡蠣は赤紫蘇のジュレと合わせたのは面白いと思うが、もう少し柔らかい方が良かったかも知れない。
 マグロは高級寿司店で使える位のレベルで原価高そうな品、夏野菜ゴーヤと合わせるのが普通でなく川手料理らしいが(笑)、納得させる美味しさだった。
 次のトリュフ+卵+フォアグラは盤石の一品、最強トリオだが美味しい料理にするのは意外と難しいものだ。鮎料理はフリットと云うよりベニエか、腸の苦みも残し鮎の個性を消していない、隣が外国人客で同じ料理が出ていて「食べられるのかな?」と心配したが、難なく食べていた。
 肉料理は宮崎の黒毛和牛、前々回利用時が同じ宮崎の経産牛だったので、その違いを感じて欲しいのかなと思った、まず脂の旨味が違う、舌に残る感覚は今回の方が強い、噛んだ旨味は経産牛の方がある、肉質は黒毛和牛のウェット感に対し、経産牛はドライな印象、そのためか経産牛には重湯を、今回はお焦げをソースに使い、それぞれの肉質に合わせているのはさすがだ、これは「どちらも美味しいです」と無難に答えるしかない(笑)。
 デセール2品は安定した美味しさ、廣田ソムリエが考案する「FLORILEGIUM(フロリレジウム=花譜)」と名付けたドリンクペアリングは秀逸、これからレストランで導入を考えている人は、此処へ勉強に来た方がいいと思う、お金を取れるパフォーマンスだ。

 料理もそうだが、フロリレージュで何より感心するのが、若いスタッフ達が生き生きと働いて居る事で、私も長く組織で働いていたから、同僚達が嫌々なのか、嬉々として働いて居るのかは、ある程度判るつもりだ、この店では全員のモチベーションが高い、これは大事だ。以前もこの店の記事で書いたが、「悪いオーケストラはない、悪い指揮者が居るだけだ」19世紀の大指揮者ハンス・フォン・ビューローが云ったとされる、有名な言葉を思い出してしまう。
 日本の蒸し暑い真夏は、正直云ってフランス料理には向かない季節だと思う、あとは夏でも問題なく楽しめる味の工夫、特に酸味と脂使用のバランスを考える必要がある、そうかと云って全部酸味料理になってもいけない(笑)、この日の料理は最適なバランスになっていると、あらためて感心した。
 退店時に挨拶に出て来た川手氏に、「あまり働き過ぎで、身体壊さないでくださいね」と話したら、「僕はボーとしているのが嫌いなのです、常に動いていないと駄目になる」との事で、「カツオやマグロみたいに、泳ぎ続けていないと死んでしまうタイプですね」と思わず云ってしまった(笑)。
 予約は取り難いかも知れないが、今最も東京で行くべき店の一つと云える。

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神楽坂「ビズ‘bisous’」(2017年7月)

 勤め先から近く、現役時代は訪れる事が多かった神楽坂だが、最近はすっかり足が遠くなっていた、サラリーマンの行動範囲はまず勤務先中心で次が自宅周辺、それぞれの半径1km位な気がする(笑)。
 前回訪問時から一年以上過ぎていた、神楽坂のフランス料理「ビズ‘bisous’」をランチタイムに訪れる事にした。「元気兄さん」と云う言葉がピッタリする村田料理長に会うと、こちらも元気がもらえそうな気がする。
 家を出た時は降っていなかったが神楽坂駅を出たら雨、鞄から折り畳み傘を出し歩くが、この週末は神楽坂の祭りがあり商店街は準備が進んでいた、坂上の交差点を飯田橋方向へ左折、交番前の細い道を坂下へ進むと、小さな公園の奥に「ROJI神楽坂」の建物が見える、その2階に店がある。
 階段を上るとガラス張りなので店内がよく見える、ドアを開けてサービス担当の若い男性と村田料理長に挨拶、予約時に「カウンターで構わない」と云ったが、窓際席に案内してくれた、外の公園緑が眺められるいい場所だ。
 ランチメニューを見るが、前菜5種、メイン9種類からと、プリフィクスの選択肢が増えていた、これはサービスの男性が料理人なので、仕込みに時間をかけられる様になったからとの事、客としては嬉しい反面、何を選ぶか暫し悩んでしまう。
 決めたのは前菜+メイン2皿のコースで、別料金のデザートもお願いした、平日ランチタイムでは時間がかかる事もあり、デザートは注文しない客が多いみたいだ。
 当日の料理は以下のとおり、
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・何故かテーブルに置かれる有田焼の三重膳(笑)

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・一の重は本来の注文である「鳥取県産大山ハーブ鶏のモンブラン仕立て」

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・二の重はローストビーフ、ビーツの和え物、湯葉巻みたいな冷菜

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・三の重は下に茄子の煮物、上には鱧の湯引きに蛸のカルパッチョ

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・奥尻ワイナリー、珍しいメルロー種を使った白ワイン

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・自家製パン(美味しい)、右に見えるのは洒落た金属製の水飲みグラス

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・山梨県産白桃の冷製スープ、茗荷風味

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・金目鯛のウロコ焼き、サフランソース

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・オーストラリア産仔羊とひよこ豆のスパイシー煮込み

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・ヌガーグラッセ・アラ・トラディショナル

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・静岡産緑茶、ブランマンジェの上に赤紫蘇のグラニテ

 いきなり磁器製の玉が登場、「何これ?」と驚いていたら、サービスの男性が「どうぞ中を開けてください」との事、そうしたら三段仕込みの前菜だった、一番上の「鶏のモンブラン仕立て」は予想以上に手の込んだ一品、真中のローストビーフとビーツもいい組合せ、和食みたいな蛸カルパッチョと鱧も、下に敷いたブイヨン炊きの茄子がいいアクセントになっている。ブログにUPするのはどうかと思ったが、一の重以外は料理長からの大盤振る舞いだった。この球形の器は料理長が見つけて来たそうだが面白い、色違いで数種あり金色の物もあった、そう「金の球」だ(笑)、カップル席で盛り上がる事間違いない。
 桃のスープは茗荷の風味が効いている、ブイヨン等は使わず桃だけとの事だが、この旨味を出すのは素材の良さとプロの技術だ。魚料理は三種から選べるが、一番手間がかかりそうな金目鯛を注文、高級店の厨房にも居た村田氏、さすがと云うべき火入れが抜群、ソースとの相性もいい。
 石焼き鍋に入れた肉料理は「カレー」をイメージしたそうで、下に羊挽肉を敷き、トマト&スパイスで煮込んで、上にロマネスコやコーン等の良質野菜を乗せる、食べて「ご飯欲しい」と云いたくなる位にカレー的(笑)、レストラン料理と云うより、美味しい賄いの料理みたいだと思った。三田「コートドール」の斉須料理長が、名著「十皿の料理」の中で、「世の中で本当に旨いものはなにかと問われたら」と述べ、「フランスでの賄料理」を挙げていたが、「旨いが一番」と云う印象。
 デセールは文字通り伝統的な物だが、ドレッセで見せてくれる、果物に載せた「目」は、過去厨房で睨まれたシェフ達の目付きをイメージしたのかも知れない(笑)。最後は村田料理長の父親が作ると聞く緑茶で締める。

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 2014年12月に開業したビズ、私は3回目だが料理が進化していると思った、随所に「和」を感じさせるが、オリジンはフランスなのが十分理解出来る、学んだものだけを出すのではなく個性も表現している。
 1982年生れの村田料理長、半年前に築地市場からの帰りに自転車で車と接触転倒、靱帯断裂の重傷を負いながら、それでもキッチンに立って居たと聞く、つくづく料理人は不死身でないと出来ないと思う(笑)。現在婚活中だそうで、若く優秀で元気があり、車に惹かれても壊れない?丈夫な料理人に興味ある女性は、まずはランチタイムにでも訪れてみてください(笑)。
 札幌出身の若いサービス担当の男性も料理人のため説明が的確、優秀な人材なので長く居て欲しいと思う。
 久し振りのビズだったが料理良かった、もっと頻繁に来るべきだったと反省、次はこんなに間を開けないで来たい(笑)。

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稲荷町「キエチュード」(2017年7月)

 日本では7月14日を「革命記念日」や「パリ祭」と呼んでいるが、フランスでは単に「7月14日(le Quatorze Juillet)」と呼ぶ。8年前のこの日PARISに旅行で滞在していて、フランス人にとって特別な日だと云うのが判った。リヨン駅は南仏方面へ向かうバカンス客で大混雑、反対に街中はパレードが終わった後は意外にも静かで、レストランやカフェも殆ど閉まり、日常とは違うPARISの姿を見た。
 その7月14日の夜に急に集まろうとの話になり、それならフランス料理が最適だと、席をお願いしたのが、上野稲荷町の「キエチュード」だった。
 最近の利用は昼が続いていたので夜は久しぶり、早く着いてしまったので店前の下谷神社に居た白キジ猫を撮影、岩合光昭になりきる(笑)。そこへ中国人系と思われる女子三人組がスーツケースを転がしながら来て、神社をバックに楽しそうに記念撮影会、何か今の東京を表している光景だなと思う。

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 時間になって入店し、奥のテーブル席に案内される。目の前にはエッフェル塔の写真が掲げてあり、気分はもう十分PARISだ(笑)。
 荒木料理長に挨拶し、始まったディネは以下のとおり、 

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・生ハムとクリームチーズ(左)とうもろこしとアニス

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・仔鹿 マッシュルーム ローズマリー

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・(鹿児島産)ダチョウ クスクス ビーツ

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・(銚子産)コチ インゲン コーンペースト

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・(ニュージーランド産)仔羊 レンズ豆 チェリートマト

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・チャメメロン サヴァイヨン タイム

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・そのチャメメロン本体

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・桃 フロマージュブラン ビスケット

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・変わった木の器に入ったミニャルディーズとコーヒー

 料理全体の印象から云うと、ランチ時とは違い食材も料理も攻めて来ていると思った。昼は上野稲荷町と云う地域の特徴から、年配女子会みたいなグループも多く、この店みたいに「おまかせメニュー」だけだと、無難な構成を取るのはやむを得ない処。フランス料理経験が多い客も来る夜は、少し冒険と云うか料理人がやりたい事を表現した、こう理解した。
 2品目の春巻みたいな品は、珍しい胎児状態の仔鹿を煮込んで中に詰めたもの、珍味で終わらず肉の柔らかさと香りを上手く閉じ込めている。続く駝鳥も珍しい、殆ど火を通さないカルパッチョだがビーツと合わせたのは名案、勿論飼育肉だが可塑性があるのでこれから面白い食材だと思う。
 魚料理は鮮度のいい鯒、和食でもよく使われる魚で夏が旬だが、旨味ある白身をトウモロコシの甘味あるペーストソースを添える事により、和食ではないフレンチの一品になっている、この日最も惹かれた料理だった。
 肉料理は仔羊、輸入解禁後他店で頻繁に出している仏国産を本来なら使いたい処だが、ムニュ価格を考慮すると、それだと前菜を減らす等全体バランスが崩れてしまうので、従来から使用している南半球物にしていると思う、その考えは賛成したい。
 面白かったのがデザート一品目で、「チャメロン」とは韓国で好まれているメロンだそうで、これをタイム風味のグラティネにしているが、食感が昔の「マクワウリ」、そう云っても殆どの人は食べた事ないと思うが(笑)。
 二品目の桃を使った冷たいデザートは、鉄板の美味しさ、忍ばせたビスケットがいいアクセントになっていた。

 荒木栄朗料理長は熊本出身、大阪の名門調理師学校卒業後同グループのフランス校へ進み、フランスで数店働いた後、勉強のためカナダやウクライナやモロッコで料理を続ける、帰国後は都内の高級フレンチを経て、2015年に独立開業した。
 俗な話だがここへ至るまで自分自身へは相当投資をしている筈だ。ピアニストでエッセイストの青柳いづみこさんが、自著で「今の音大生は投資額(授業料・楽器代等)に対して、将来の回収額(収入)が少ない、不良債権的な現状」と、たしか書かれていたが、料理人も同じと云うと語弊があるが、近いものがありそう。街場のレストランで働こうとする若者が減っている中で、自分の料理を沢山の人に食べてもらいたいのが夢だったと語る荒木氏、
https://chefgohan.gnavi.co.jp/chefindex/detail/2506/
 開店後2年を経て自分の本質を表現している、この日の料理を味わいそう思った。此処へ至るまでにかかっただろう時間やお金を考えてしまうと、リーズナブルな価格で体験出来るのは、東京に住んでいて良かったと思ってしまう(笑)。
 素敵な料理で楽しい7月14日の夜になりました。


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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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