最後の晩餐にはまだ早い


2015年「今年印象に残った店」(料理編)

 今年も残りはあと一週間になった、ブログ更新も2回の予定なので、毎年恒例の「今年印象に残った店」を、自分の忘備録の意味でも残しておきたいと思う、昨年同様に「料理編」と「デザート・スイーツ編」の2回に分けたい。
 断っておきたいのは、あくまでも私の主観による「印象が強かった店」なので、今年行って選ばなかった店が「美味しくなかった」と云う訳ではありません、食ガイドのランキングや格付けとは全く意味が違うので、それを汲んで読んで欲しいと思う。
まずは料理編からで、

・外苑前「フロリレージュ」
 今年の東京フランス料理界で一番の事件は、フロリレージュの移転(3月)だったのではと思っている。ただ店が動いただけでなく、コンセプトが大幅に変わった、新店へ行っていない人には、「とにかく一度行ってみてください」としか言えないのだが、賛否両論ある事は承知の上で、これからの東京レストラン界を牽引する店である事は間違いないと思う。

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 料理は新店訪問一回目の「分かち合う 緑苺 (北海道産仔羊)」

・六本木「ル・スプートニク」
 今年、東京フレンチは新店ラッシュだったが、その中から一店選ぶとなると、やはりこの店だろう、前「ル・ジュー・ドゥ・ラシェット」料理長だった高橋雄二郎氏が、7月に開業した店。感性豊かな料理&デセールに定評ある料理長が提供する料理と、女性支配人田村さんの細やかなサービスが印象的、これから更に進化して行く店だと思う。

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 料理は3回目訪問時の「スコットランド産グルーズ(雷鳥)のロティとカイエット、内臓のソース」

・大阪上本町「コーイン」
 「私の大阪」ならこの店。誰にでも薦められる店ではない、ある意味「終末道場」みたいな、フランス料理を食べ尽くした人間が、最後に辿り着く店だと言える。高原価な食材と自ら作った野菜を、「これでどうだ」と料理に物量投入する孤高の料理人には、狂気と背中合わせの「醒めた理性」を感じて、毎回寒気を覚えてしまう(笑)。

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 料理は2月訪問時の「高知産雌鹿のロワイヤル、畑のジャガイモのピュレ」
「今年の一皿」は、これか前述の雷鳥かで甲乙付け難い。

・麻布十番「グリグリ」
 仏政府が提唱した「グー・ド・フランス」の日の特別メニューは、1990年代テイストでこの店へのイメージを変える料理だった、「フランスのフランス料理が、本当に美味しかった時代」を思い出させてくれた、この料理なら何度でも食べたい(笑)。そう云いながら、その後今年は行けなかったので、伊藤料理長すいません(笑)。

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 画像は「オランダ産リ・ド・ヴォーのフリカッセ、モリユとアスパラガス、焦がした粉のニョッキ、シャルトリューズ風味」

・札幌「プロヴァンサル・キムラ」
 今年もやはり札幌はキムラで決まりか(笑)。職人気質な料理長とそのまま「PARISのマダム」の絶妙コンビは健在でした、夫婦漫才同様に夫妻二人で営むフランス料理店は減少しているが、札幌では佳店がまだ幾つかある、「我家に招かれたみたいな」店へ行きたいのなら、迷わず札幌へ行くべき(笑)。

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 料理はこれが本場物の「ボーヤファーム産仔羊のキャレとタン、旭川野菜」

・池袋「シュヴァル・ド・ヒョータン」
・曙橋「ジュー・ドゥ・マルシェ」
 「女性活躍推進法」の意義はよく判らないが、女性料理人ならようやくこの業界に本格的な進出が始まったと思う、今年訪れた女性料理長の店は、共に非凡な才能を感じさせてくれた、来年は彼女達に続く人材が出現するのを期待したい。

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 前者からは「オーストラリア産仔羊芯のロースト、オッソイライティチーズ風味」

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 後者は「北海ホタテとシモタ農芸野菜のミルフィーユ、ハーブの香り」

 1980年代生れと云う、激若な料理人達が登場して来たのも今年の特徴、私が行った中で挙げておきたいのは、

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・稲荷町「キエチュード」の「アスパラガス サラダ フヌイユ」

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・麻布十番「ピッツェリア・ロマーナ・ジャニコロ」の「アナゴの白焼、スモモと水ナスのサラダ、オレガノ、バルサミコ」

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・新橋「スブリム」の「発酵マッシュルーム 卵」

 行きたかったが叶わなかった、名古屋「レミニセンス」の料理長は何と1985年生れとか、恐ろしい時代になって来た(笑)。

 フレンチ、イタリアン以外で特に印象に残った店では、

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・東上野「ハリマ・ケバブ・ビリヤニ」の「柔らかラムビリアニ」

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・大阪・長居「又三郎」の「熟成肉のカツレツ」

 この2店を挙げておきたい、前者は驚異的なキャリテ・プリで、後者は熟成肉提供のパイオニアとして、遠回りしてでも訪れたい店だと思った。

 デザート&スイーツは次回に。



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西尾益吉と「燕楽軒」

 TBS系列で放映中の「天皇の料理番」は、宮中で50年以上に渡って主厨長を務めた秋山徳蔵の若き日をモデルにしているが、とても面白く久しぶりに次回放映が待ち遠しいTVドラマだ。俳優陣もいいがスタッフ、資金、時間を十分に使った企画であり、料理と同じで人を感動させるものを作るには、それなりの手間とお金が必要だと云う事を、改めて認識させてくれた(笑)。
 このドラマで興味を持ち、秋山徳蔵の事を調べていて、明治期の日本人料理人達の名前を知った、その中で秋山以上に興味を惹かれる人物が居たので、今回はその話を書く事にしたい。

 料理人の名前は西尾益吉、「築地精養軒」の第四代料理長で、残念ながらドラマには登場しないが、実在の秋山徳蔵が渡仏前に精養軒で彼の下で働き、フランスでの厨房経験ある西尾が、料理長として大きな存在感を示し、流暢な仏語でメニューを記しているのに憧れ、秋山自身もフランス行を決意したと伝えられる。
 西尾が料理長だった築地精養軒は、外国からの要人接待の場として、明治5年に日本初の本格的な西洋料理店として開業する、現存する「上野精養軒」は、明治9年に開業した支店だ。初代料理長はスイス人のカール・ヘスで、西尾はこのヘスの下で学び、その後精養軒の出費で単身渡仏、ホテル・リッツで「近代フランス料理の父」とされる、オーギュスト・エスコフィエに師事している。この「師事」がどの程度のものであったか不明だが、同じ職場で働き、エスコフィエの厨房指揮ぶりを見たのは事実みたいだ。私が調べた限りでは、日本人が本場フランスで料理人として働いたのは、この西尾が最初ではないかと思う。
 築地精養軒は1909(明治42)年に旧建物を改築、ホテルを併設した3階建ての堂々たる建物になった、秋山徳蔵がフランスに渡ったのが同年なので、西尾の下で働いていたのは旧建物時代だと思う。

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・改築前の精養軒

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・3階建32室の新館
 この新館は1923(大正12)年の関東大震災により焼失、以後再建される事なく、精養軒本社は上野に移る事になる。

 エスコフィエ流の最新フランス料理を持ち帰った西尾の料理長時代、築地精養軒は日本を代表するフランス料理店として全盛期を迎え、政財界や文壇の名士達が集う場所になる。彼の下からは秋山徳蔵を始め、多くの弟子達が育った。
 やがて西尾は精養軒の取締役兼支配人にまで上り詰め、役員として経営側に回る事になる、料理人の地位が低かった当時としては異例の出世だ。しかしここから彼の人生に転機が訪れる、職人気質の西尾は、当時の精養軒幹部達の放埓経営ぶりを知り、義憤を覚え彼等と対立、社長を含む経営陣を追放する事を企てるが、結果抗争に敗れて自身が精養軒を去る事になる。
 このエピソードは西尾側からの見方で、精養軒側からの反論資料は無い、当然精養軒の歴史でも触れられていないので、どこまで真実なのか、今となっては確認出来ないが、帝国ホテルを退社し自店を開業するつもりながら叶わなかった村上信夫や、役員待遇の地位にありながら、後進のため自ら志摩観光ホテルを去った高橋忠之両氏とは、時代が違うとは言え、相当違った身の処し方だ。

 その後西尾は一時海軍省食堂の料理長を務め、1918(大正7)年にフランス料理店「燕楽軒」を開業する。場所は文京区(当時は本郷区)の本郷三丁目、この近くには中央公論社があった事から芥川龍之介、菊池寛、久米正雄と云った文豪達が来店し盛況だったと伝えられる、そして実際には一ヶ月にも満たないが、近くにあった菊富士ホテルに居た宇野千代が、この店で女性給仕として働いていた、こうして名前を並べただけで眩暈がしそうな役者が揃った、何とも凄い店だ(笑)。
 燕楽軒があった場所は、私の勤め先から近いので、この記事を書くにあたって訪ねてみた。本郷三丁目交差点を東大赤門に向かってすぐ左側、菊坂通りと接する角地で、現在はビルが建っている、一階はパチンコ店だったが、建物耐震補強のため閉鎖されていた。燕楽軒跡地だった事を示すプレートがあったらしいが、現在は撤去され当時を偲ぶ物は何もない。

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 中央公論社は「燕楽軒の前にあった」と書いている記事があるが、調べてみると実際は交差点の斜め向こう側、和菓子店の「三原堂」の裏手あたりだったそうだ。

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 WEB上で当時の燕楽軒の建物外観の画像を見付ける事が出来た、隣にある「明月堂」は明治25年創業のパン屋で、つい最近(去年?)まで営業していた、その店舗と較べると、燕楽軒の建物の立派さが判る。

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 西尾益吉の生年は1875年頃で没年も昭和の初め頃としか判っていない、肖像も探したが見つからなかった。燕楽軒自体は西尾の死後も続いていたが、戦災により建物は消失し、戦後の再建はなかった。
 西尾と彼の店は、「記録より人々の記憶に残る」料理人と店だった、こうした潔い本物の職人気質の料理人が居た事を知り、明治人の気概に憧れている(笑)。
(精養軒と燕楽軒の画像はWEB上から引用しました)


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2014年「今年印象に残った店」(デザート編)

 料理編に続いてデザート編になるが、これもフランス料理店が多く、且つ料理編と店が殆ど重なってしまった、「料理は駄目でもデザートだけは良かった」と云う店は無く、「駄目な店は何を出しても駄目」なのかも知れない(笑)。
 まず挙げておきたいのが、大阪の下町布施で輝いているフランス料理店「パパノエル」からで、

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・キンカンのムース天津甘栗のモンブラン仕立、メローゴールドのゼリー、キャラメル風味のアイス、ココナッツミルクとバナナのフラン

 「パパノエル」の奥田料理長とは同世代の、六本木「トレフ・ミヤモト」宮本料理長の、

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・あまおう苺のピュレとソースボール、パンナコッタ、濃縮牛乳のアイス

 宮本氏と同じ「クラブ・ミストラル」のメンバー、人形町「イレール」島田料理長のシンプルな、

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・チョコレートのスフレ

 赤坂の店を閉めた後、北区駒込で再開した「レザントレ・コウジイガラシ・オゥ・レギューム」五十嵐料理長の野菜を使ったデセール、

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・茄子のクレームブリュレ、茄子の赤ワイン煮、西瓜

 こうして並べてみると、「いい料理」は感性と若さでも作れるが、「いいデザート」は経験と反復が何より必要なのかなと思う。
 U-40世代料理人の店で印象に残ったデザートは、まず八丁堀「シック・プッテートル」生井料理長の、

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・キャラメルショコラをアマレットのエスプーマで包んで

 パティシェ経験のある料理人、代官山「ル・ジュー・ドゥ・ラシェット」高橋料理長の、

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・ショコラバナーヌ、パッションフルーツソース、バナナのグラス

 この店を外す訳にはいかない、南青山「フロリレージュ」川手料理長の、

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・カマンベールのクリームを詰めたシュー、糖蜜のグラス

 伝統料理を現代ビストロ風に変容させる腕利き料理人、麻布十番「ビストロ・コティディアン」須藤料理長の、

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・イチジクのタルト、バニラアイス

 フランス料理店以外で印象的だったのは、四谷荒木町「大原」の大原料理長の奥様が作られた、爽やかな夏の甘味で、

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・自家製水ようかん

 
 最後にちょっと意表を突かれたのが、代々木八幡「アルドアック」酒井料理長(と云っても一人だが(笑))の、

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・洋ナシコンポート、パニラとオリーブオイルのアイス、イチジクスライス

 残念ながら店売りスイーツには、あまり印象に残るものがなかった。

 一年間このブログをお読みいただきありがとうございました。「アベノミクス」なる言葉が独り歩きしていたが、実体経済の回復はまだまだ遠い先の現実、加えて食材料の高騰や人材難等、飲食店には冬の時代が続いているが、若手料理人それも1980年代生れが登場、海外でも日本人料理人が沢山活躍しているし、将来にはそれ程悲観しなくてもいいのかなとも考え直している。
 来年は少しでも食業界が明るくなる事を願っています。

 最後に、皆様にとって来たるべき新年が、希望を持てる一年である事をお祈りします。


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2014年「今年印象に残った店」(料理編)

 ブログ更新も年内はあと2回の予定、そこで毎年恒例の「今年印象に残った店」を挙げておきたい。「料理編」と「デザート編」に分け、それぞれ今年特に印象的だった料理&デザート画像と共に紹介するが、選んだ店はやはりフランス料理が多くなってしまった(笑)。
 まずは料理編からで、今年初めて訪問した店からは、

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・四谷荒木町「懐石 大原」
 1月に初訪問、目白にあった名店「和幸」の衣鉢を継ぐ若手料理人大原氏の店、茶懐石の精神を感じさせ、正統的で姿勢を正したくなる料理、予約が取り難くなっているが来年も訪れたい店だ。画像は初訪問時の「牡蠣と天王寺蕪の味噌仕立煮」。

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・大阪高麗橋「旬菜 桜花」
 2月の関西旅行時に訪問、大阪食材に拘った独学派の和食料理人森田氏が作る料理は個性と色気がある、過去大阪和食は再訪したい店が殆どなかったが、此処はまた訪れたいと思う、画像は「田辺大根のすり流し」。

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・代々木八幡「アルドアック」
 モダンスパニッシュの新星、カウンター席だけの店で若手料理人酒井氏が一人で全て回すが、そのハンデを感じさせない多彩な料理を繰り出してくる、来年はこの種のワンオペレーション店が増えると予想している。画像は「ピキージョと椎茸の詰め物」。

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・代官山「ル・ジュー・ドゥ・ラシェット」
 才能溢れる若き高橋料理長の繰り出す閃きとクリエーションが体験出来る店、遊び心とアイディアに満ちたムニュ・デギュスタシオンは、今東京で一番面白いかも知れない、来年目が離せない料理人の一人。料理は「42度の鰯、ジャガイモのピュレ」。

以下はリピート店、それもフレンチばかりだが、

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・麻布十番「グリグリ」
 去年から注目している店の一つ、名古屋からの移転2年目で東京客との折り合いが付いたのか料理が進化した、と云うより伊藤料理長が本領を発揮してきたと思う、今東京フレンチでお勧めしたい旬の店、画像は「栃木産鳩のコンソメとトリュフと春菊のベルランゴ」。

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・南青山「フロリレージュ」
 この店については色々と書いて来たので繰り返さないが、東京を代表する若手料理人の名店、星が瞬かないのはブラックジョークとしか思えないが、来年は移転を控え、川手料理長の次なるステージに期待が膨らむ。画像は「熊本天草産車海老とフォアグラ、焼き茄子のソース(45℃の海老)」。

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・和歌山「オテル・ド・ヨシノ」
 今年1回しか伺えなかったが、手島料理長は今絶好調だと思う、レストランスタッフは何人か交替したが、高いレベルを維持しているのは、彼の優れたリーダーシップによるものだろう、画像の「ブレス鶏のベッシー」は今年最高の料理体験。

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・大阪上本町「コーイン」
 店で使う野菜まで自ら作る孤高の料理人が営む、非現実的な高原価レストラン。手間がかかり過ぎ他の料理人が尻込みする面倒な仕事を苦も無くこなし、客が目の前に置かれた料理に驚愕しているのを、厨房からドヤ顔で眺めている湯浅料理長は健在だった(笑)。料理は「自家菜園の野菜のエチュベ、トリュフ風味」。

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・札幌「プロヴァンサル・キムラ」
 毎回レベルの高さに感心する札幌フレンチから「今年の一軒」を選ぶならこの店、素敵な木村夫妻が営む素敵なレストラン。今野菜料理がブームだが「美味しい野菜」と「美味しい野菜料理」は違う、本当に美味しいと思ったのは、この店の旭川野菜と前述の「コーイン」、それと東京駒込の「オゥ・レギューム」に、最近行ったばかりの「Bio-S」だろうか。画像は「滝川産合鴨スノーホワイトチェリバレーのロースト」。

 最近は若手料理人の店を回る事が多かったが、今年行ったベテランシェフの2店でベテラン健在を知り、同年代として嬉しかったので(笑)紹介しておきたい。

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・六本木「トレフ・ミヤモト」
 宮本料理長の「黒ムツと平貝、季節の野菜、ソースベルシーとオランデーズ」

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・人形町「イレール」
 島田料理長の「軽く燻製した仏産プーサンのロースト、ゆず胡椒ソース」

 最後に定点観測中の

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・神楽坂「オー・トレーズ・ジュイエ」
佐藤料理長の新作「秋のフルーツのフリカッセ、フォアグラのアイスパウダー」を挙げておく。

 次回はデザート編を紹介したい。


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2013年総集編「今年印象に残ったデザート&スイーツ」

 今年印象的だったレストランデセールでは、まず挙げておきたいのが大阪・上本町「コーイン」の、

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・ガトー・マルジョレーヌ、ピスターシュのグラス
 
 店で出すバターにチーズ、サラミに生ハム、果ては野菜まで自分で作らないと気が済まない稀有な料理人、これからは牛や鶏を飼い、器やテーブルに椅子まで作り出すのではないかと、皆は期待?しているが(笑)、その料理人が古典を基に納得するまで試作を繰り返した名デセール、「ピラミッド」の時代よりずっと軽くなっている筈だが、何故かフェルナン・ポワンの亡霊を見た思い(笑)。

 青山「フロリレージュ」のデセールは毎回楽しみだが、今年特に惹かれたのが、

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・ガトー・ショコラ「青山の土」

 先月刊行されたフロリレージュの料理本にルセットは載っているが、これは店でメートルのクイズ?付きで体験する事に意義がある(笑)、それなので「一期一会」とも云えるデセールだ。

 今年一番通った八丁堀「シック・プッテートル」からは、おなじみの、

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・キャラメルのムース、チュイールとパンケーキ、バナナとレーズン

 一人厨房(当時)では手の込んだデセールを作るのは困難を伴うが、それでもこの出来は立派。現在はスタッフが増えたので、もっと手を加えたものになっているが、方向性は変わっていないと思う。

 ベテラン料理人の「おはらス・レストラン」からは、

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・生落花生のブランマンジェ

 三田「コートドール」の「ココナッツ風味のブランマンジェ」と似ているが、味わいは少し違う、こちらの方がより濃厚で舌に旨味が残る印象、白い皿に白いデセールのビジュアルは、エンリコ・カステラーニの現代アートみたい。

 見かけはそのブランマンジェに似ているが中身は違って、神楽坂「オー・トレーズ・ジュイエ」の、

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・フレンチ大福(笑)

 求肥の中に刻んだフルーツとジェノワーズ生地を詰めたもの、遊び心満載の「カグラザカ・テロワール」の逸品、近々「フレンチ大福ver.2」が登場予定?(笑)

 そして今月体験したばかりだが、麻布十番「ビストロ・コティディアン」の、

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・ラム酒風味のクレームキャラメル

 見かけは普通だが、結局はこうした物が一番美味しい、ビジュアル優先なデセールが「美人は三日で飽きる」とすれば、「地味な花」の美味しさは普遍だ(笑)。

 以下はパティスリー物になるが、先ずは南千住「パスティチェリア・バール・アルテ」の、

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・リコッタチーズのケーキ

 コンビニスイーツに対抗するには、街場のパティスリーも変革しないといけないと云う実例、イタリアンドルチェはこれからもっと注目されていいと思う。

 小樽の製菓メーカー「ルタオ」が運営する、新しいタイプのパティスリーが表参道に誕生、その「グラッシェル」の、

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・アントルメグラッセ三種(杏仁、マンゴーパッション、フィレノワピスターシュ)

 素敵なサロン・ド・テを併設し、そこでいただくアントルメグラッセ(アイスクリームケーキ)は、これから東京で新たな潮流となりそう。
 こうして並べてみると、私はやはりシンプルなものが好きなのが判った(笑)。

 今年もこのブログにお付き合いいただき、ありがとうございました。
 東京では年初立て続けに個人店が閉店し、暗い気持ちになったが、それと「選手交代」するみたいに幾つか新店も誕生した、来年も「アベノミクス」なる景気上昇傾向が続き、その還元が飲食業にあるかは疑わしいと思っているが、新たに業界に参入した個人店は、長く続いて欲しいと願わずにはいられない。蟻一匹みたいな微力だが、真摯に「食」に取り組む彼・彼女達を応援したいと思っている。
 それでは、どうぞ皆様良いお年をお迎えください。

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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
店の点数評価等はしません、「食と人」を描きたいと思っています。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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