最後の晩餐にはまだ早い


表参道「グラッシェル」(2017年5月)

 私が「表参道のスイーツパラダイス」と呼んでいる、アントルメグラッセ&生アイス専門店「グラッシェル」で、5月末に開催された夏の新作発表会に、ブロガーとして招待をいただいた。招待されたからにはレポートを書くのは当然の義務と思い、今回記事をUPさせてもらう事に。

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 まさに新緑の季節だが、店前の植込みの緑も鮮やかで、此処で「目に青葉 山ホトトギス 夏アイス」(笑)。
 発表会場は2階のカフェスペース、平日の夕方だが満席で参加者の殆どが女性だった、シェフも女性なので、女性の感性で作った物を女性が評価紹介し、女性達が買い求めにやって来る、これが「女性達の世紀」と思う21世紀を象徴している(笑)。

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 各席上には紙資料が置かれている、1枚目からして向日葵のイメージで、夏だなと思わせる。

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 時間になり、本間シェフパティシェールの挨拶と説明が始まる。まずは新作のアントルメグラッセホール3種の紹介から。

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 手前から奥へ「パルファン ダンファンス‘Parfume d'enfance’」「フェットエスティバル‘Fête estival’」「バルーンデテ‘Ballon d'ete’」

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 試食用にそれぞれをカットしたもの、以下資料説明の概略と私個人の食べた感想を。

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・フェットエスティバル(婦人画報コラボ商品)、ホール価格:4,500円(税抜)、販売期間:6月24日~8月31日
 商品名は仏語で「夏祭り」、向日葵の花の周りを飛ぶテントウムシとミツバチをあしらっている。タルト生地の中にアプリコットのコンポートをからめたバニラアイスとアプリコットソース、その上にミルクチョコレートのアイスを乗せ周りにはマンゴーアイス。長野「やまさ農園」のアプリコットを使用しているとの事。
 マンゴーとチョコレートの組み合せが意外で大胆、好き嫌いあるかも知れないが、私はいいと思った、インパクトある外観、見栄えがいいのでプレゼントに喜ばれると思う。

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・バルーンデテ 4,000円、6月10日~8月31日
 従来の「バルーンデテ」はグラッシェルで一番人気だそうだが、それを夏用にバージョンUPしたもの。桃の風味のバニラアイスにフランボワーズを合わせたベリーソース、ライチ風味のアイスを重ね、ベリー、ライチ、桃のシャーベットを乗せた。
 これは桃とライチが主役、定番の美味しさに加え夏らしい爽やかさがある、色も形も女性に好まれそう、今年の夏は「花よりアントルメグラッセ」を贈るのがいいかも知れない(笑)。

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・パルファン ダンファンス 3,600円、6月24日~8月31日
 チーズケーキをアントルメグラッセにしたいと考えたそうだ、レモン風味のバニラアイスの中にパイナップルのコンポート、レモンソースを流し、上にはクリームチーズとマスカルポーネのアイスを絞る。愛媛「山崎農園」のレモン、沖縄「玉城忠雄農園」のパイナップルを使用。
 個人的には今回これが一番気に入った(笑)、クリーム味とレモン&パイナップルの酸味が絶妙にマッチしている、爽やかでいながらコクがあり、このままレストランデセールにも使えそうだ。

 資料だけだが、「アンディヴィヴィエル グラッセ‘Individuels glac'es’」の商品名で、ミニサイズのアントルメグラッセがリニューアルされた事が紹介された。
 最後にカフェスペースで提供される季節の新商品「メロンパフェ」の紹介と試食があった。

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・提供する状態の試作品(税別1,500円で販売予定)

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・試食用サイズ

 本間シェフの説明によると、メロンは茨城「方波見農園」の「イバラキング」を使用。クープは下から ポルト酒のグラニテ、 レモン&ミントのジュレ、 マスカルポーネのアイス、メロンシャーベット、仕上げに生クリームを絞りメロン、メープルのパウンドケーキ、ポルトのジュレ、ミント&レモンで仕上げたとの事。
 まずはルビーポルトの香りが鼻に抜ける、続いてメロンの豊潤な香りと味、これらを上質なクレームシャンティが柔らかく包む。メロンとポルトは相性抜群だそうで、たしかジャン&ピエール兄弟が健在だった頃の「トロワグロ」のデセールに、メロンをくり抜きポルトと果肉を入れるスペシャリテがあったと思う。
 これは贅沢なパフェ、私が子供の頃メロンは高価で食べられず、「死ぬ間際なら食べられる」と信じていた(笑)、そのメロンを材料にした豪華版パフェが、今では1,500円で誰でも食べられる時代になった。ただアルコール分が高いので、子供やお酒に弱い人、これから運転をする人は控えた方がいいと思う、これぞ「大人のパフェ」だ。

 本間シェフ、招待ありがとうございました、長く生きていると良い事あります(笑)。またスーシェフで9月に水戸でパティスリー「le sucrier」を独立開業すると聞く小薗君、健闘をお祈りします。

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新富町「プレニチュード」

 フランス南東部の大都市リヨンは古い街で、ローマ時代にはガリア(フランスの古い呼称)の首都として発展、当時は「ルグドゥノム」と呼ばれた。21世紀の現在でもパリとは違う独自の文化を保っている、ソーヌとローヌの二つの川に挟まれた半島状の中心地(プレスキル)とソーヌ川右岸の旧市街には数多くのレストランが点在し、「食の都」とも呼ばれる、これは中世以降に絹織物の生産地として栄え、ブルジョワと呼ばれる商家の富裕層が多く誕生し、飲食業を支えていたからでもある。
 このリヨンで約4年働き、帰国後もリヨン出身のフランス人料理人の店、神楽坂「ルグドゥノム・ブション・リヨネ」で料理長を務めた今田一之氏が、昨年12月に独立開業をしたのが、この日の昼に伺う新富町「プレニチュード」だ。
 「ルグドゥノム~」は訪れた事があるので興味あったのだが、今回たまたまFBで知り合った人が、この店のサービス担当に就任したのもあり、友人を誘って昼に初訪問する事になった。

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 店から一番近い駅は有楽町線の新富町だが、私は日比谷線八丁堀から歩いて行った、近年「ビストロ・シンバ」「メゾン・ミッシェル」に、この「プレニチュード」と、近いエリアにフランス料理店が続いて開業している、今東京でも熱い一帯と云えそう。「シンバ」からは首都高環状線を挟んですぐの場所、このまま銀座へ向かうと「カイラダ」も近いし、他にもビストロやイタリアンが数店在り、飲食激戦区になっている。
 12時丁度に入店し、店内左側のベンチシートに案内される、思っていたより広い店内で22席あるそうだ、入口右手が厨房で中は2人体制だった。

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 テーブルは昼でも白いクロスが敷かれ、位置皿にはシャガールの絵皿、その上には白い布ナプキンを立てている、このセンスは今の東京ではちょっと懐かしい感じがする(笑)。
 サービスの大津氏に挨拶し料理が始まる、ランチメニューは3,800円と5,800円の2種で、あらかじめ後者をお願いしていた。

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・アミューズ・ブーシュ(リエットのバゲットサンド、ロマネスコのマリネ)

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・そら豆のムース、北寄貝と春野菜のサラダ仕立て

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・ボルドー産白アスパラ、鴨の燻製ハム、ハーブ

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・長谷川農園のマッシュルームスープ

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・金目鯛のポワレ 生姜風味のエブリ麦とプティポワのピューレ

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・切子杯に入れた香川産甘夏のグラニテ

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・ハンガリー産鴨胸肉のロースト、赤ワインソース、インカのめざめ

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・苺のヴァシュラン、ピスタチオのアイスクリーム

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・ミニャルディーズ

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・コーヒー

 まず料理全体の印象を云うと、東京やPARISの若手料理人達が作る、エッジの立ったコンテンポラリー料理とは少し傾向が違い、何処か懐かしくて優しい美味しさ、リヨンを訪れたのは2009年が最後だが、記憶の中での料理には共通点がある。
 個人的な好みでは、前菜の「そら豆のムース、北寄貝と春野菜のサラダ仕立て」に惹かれたが、一つの料理だけが突出する事なく、全体が絹織物みたいに柔らかな肌触り、店内は時間がゆったりと流れ、モダンアートの鮮烈な刺激より、絵具を何層にも塗り重ねた伝統の油絵みたいな料理と云うと抽象的過ぎるかな?(笑)。
 パティシェールのヒカリちゃんが作るデセールも良かった、これから経験を積むといいパティシェになると思う、コーヒーも吟味され美味しい。
 店内サービスはスーツ姿の男女2人が担当するが、上質で寛げる。客の年齢層も高めに感じ「大人のレストラン」だなと思った。皿はベルナルド、カトラリーはさすがにクリストフルではないが、肉用にはライオールを使う、この辺りにも店主のフランスへのリスペクトを感じた。
 青山学院近くで、現在「モノリス」の場所に在った「アテスエ」の料理を思い出した、割と好きだった店で、私の記憶違いでなければオーナーシェフはリヨンで働いた事があり、優秀なメートレスが居た、料理には何処か共通点があると思った。
 店のWEBページでは「食べて美味しく、身体によい環境にも優しい。オーガニックな食材に拘った自然派フランス料理を」とコンセプトを主張している。料理の傾向は違うが、外苑前「フロリレージュ」が提唱する「サスティナビリティ」にも共通する考えで、レストランがこうしたメッセージを発信するのはいい事だと思う。

 店名の‘Plénitude’とは、「完全」「充実」を表すフランス語、開業後半年なので完全には足りないものがあるのは、料理長が一番承知していると思う、あくまでも目標と理解すべきで、あと半年位経って一周年を迎えた頃に一回目の充実が来そうな気がする、確認のためにもまた来てみたい店だと思った(笑)。


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麻布十番「ビストロ・コティディアン」(2017年5月)

 東麻布「ローブ」へ行くため、麻布十番駅の改札へ向かう長いエスカレーターに乗っている時、「そう云えば、ビストロ・コティディアンに暫く行っていない」と思った、家に帰って調べたら、去年の2月が最後で1年以上経っている、冬場にスペシャリテの「カスレ」を食べに行こうと思いながらも、そのままになっていた。
 行きたいと思う店を均等に回るには、東京のレストランは数が多過ぎる、私がもし今よりお金持ちだったとしても体力的に無理、もう一人の自分が欲しい位だ(笑)。

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 そうした訳で、ご無沙汰をお詫びするお土産を持って伺った(笑)、ランチタイムのコティディアン、マダムに挨拶し窓際のベンチシートに案内され、ランチのカルトを眺めながら井之頭五郎氏みたいに何を食べようか暫し悩む。

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 この日は結構暑い日だったので、「久しぶりにカスレ食べたいが、季節的にミスマッチかな?他のメイン料理なら『ブーダン・ブラン(岩中豚と鶏肉のソーセージ)』に惹かれるが、さてどうする?」、そこへ須藤料理長が挨拶に出て来た、彼の顔を見たら瞬間に「決めた、カスレ」と思った、念のためカスレみたいに煮崩れた顔だと云うのではありません(笑)、ジムで絞った身体を持ち、美味しい物が出て来るに違いない、味のあるいい顔です。

 ランチのカスレコース(4,200円)の前菜は、通常だとエスカルゴだが、少し重いかなと別の料理に替えてもらった、内容は以下のとおり、
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・冷製新タマネギのポタージュ

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・「野生児」と云う名のワインは、ラングドック・ルーション地方のフィトー(グラス1,000円)、従来の仏南西部ワインとは一線を画す、モダンなラベルで華やかな果実味がある。

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・岩中豚のリエットとポワンタージュのバゲット

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・北海道産サクラマスのミィ・キュイ

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・フランス産鴨もも肉コンフィのカスレ

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・山梨県産白桃のコンポート(これは標準仕様ではありません(笑))

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・リュバーブのタルト、バニラアイス

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・コーヒーとミニャルディーズ

 暑い日に向く冷たく優しい味わいの新玉葱ポタージュで「掴みはOK」(笑)。リエット&バゲットはこの店へ来たら無いと寂しい定番。
 続くサクラマスのミィ・キュイ(半生調理)は、鮭バージョンも含め割と各店で出る料理だが、コティディアンでは火を通した皮を付け提供、その香ばしさと身の柔らかさ、上に乗せた野菜と周りのソースが一体になった美味しさを感じさせる。
 そしてこの店では、最後に食べてから2年以上経っているカスレが登場する、まずは鴨コンフィ下の豆煮込みを一口味見、カレーみたいな風味がするが、近くにあったコティディアンも掲載されている本「ビストロメニュー・バイブル」(ナツメ社)で確認したら、カルダモンを使っているそうだ、前回も入っていたのだろうが気に留めなかった、塩分と脂分は以前より抑えているのでは?と感じる。続いて鴨コンフィ部分は記憶に変わりなく美味しい、料理自体はビストロの定番だが、此処まで丁寧な仕上がりに出会う事は少ない、単に「カスレ」と云うより、メニューどおり「鴨もも肉コンフィのカスレ」と呼ぶべきで、主役はあくまでも鴨だ。
 何故か1品増えていたデセールは文句なく美味、料理長は私と同じくスイーツ好きなのだと思う(笑)、特にバニラアイスは良質なバニラを使用、最近では出色のグラスだった。

 久し振りのコティディアンだったが、まずは来て良かったと思った、マダムともう一人の若い男性のサービスが良質で居心地がいい。料理も最新の煙や泡が出る尖ったものでは無く定番料理が多いのだが、余計なものを省き簡潔でいながら奥行きがあって美味、「贅沢な日常」を感じさせてくれる。
 フランスのビストロと較べたら、量や塩分・脂の質は違う、悪い意味ではなく日本人向け、それもシニアクラスでも完食出来て、リピートしたくなる料理だと思う、それもあって客層も比較的高めに感じた。
 これから更に高齢化社会になる日本、レストランも変わって行く必要あると思う、70代、80代になっても食べられるフレンチ、雰囲気が良くて月1回位のペースで来ても飽きない料理と、年金からでも払える値段(笑)、そうした店があれば老後の楽しみが増すし、もう少し生きてもいいかな?と思えてくる、家から麻布十番まで辿り着ける体力は維持しないといけないが(笑)。
 須藤料理長、マダム、そしてスタッフの皆さん、おかげで素敵な午後になりました、次はこんなに間を空けずに来たいと思います。

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金町「ラ・ローズ・ジャポネ」

 JR常磐線金町駅近くのパティスリー「ラ・ローズ・ジャポネ」は2012年3月の開業、WEB情報によると店主は優秀なパティシェを何人も輩出した「ホテル西洋銀座」出身で、現在上野桜木で人気パティスリー「イナムラショウゾウ」を営む稲村省三氏の下で働き、その後マンダリンオリエンタルホテルのシェフパティシェに就任、5年前に地元葛飾で独立した。
 2010年7月には「菓子界のワールドカップ」とされる、2年に1度開催の「ワールド・ペストリー・チーム・チャンピオンシップ」で日本人初の優勝者になっている。錚々たる経歴の持主だが、あえて金町と云う都心から外れた地域を選んだのは、一種の賭けでもあったと思う、現在では葛飾区を代表する人気パティスリーとして知られるまでになった。
 以前から行ってみたかったのだが、我家から自転車だと結構距離あり、電車ではメトロ&JRの乗り継ぎで往復交通費もそれなりで、つい見送っていた、現在時間があるのでパティスリー巡りをする機会が増えたので、他店との比較のためにも味わってみたくなり、今回意を決し自転車で向かう事に、距離があるので道路が空いている日曜日を狙った。

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 店の場所は、金町駅南口を出て線路沿いの道を江戸川方面へ向かうと間もなく左側に在る、広い道沿いにあるが周りには商店等がなく、少々意外な立地にも見える、隣は空き地で仮囲いがあり、近々マンションが建つのかも知れない。
 店前に立った第一印象は「何とお洒落な店」(笑)、これは従来の金町センスではない(金町の方失礼)、入口には開店5周年祝いの胡蝶蘭の鉢が置かれていた。

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 店内に入っても洒落たセンスに溢れている(撮影は承諾を得ています)、入口正面に作業場がガラス張りで見られ、手前には焼き菓子等を並べている。

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 生ケーキ類が並んだ冷蔵ケース、結構種類豊富だ。スタッフの数も多くラボに4人、売り場には3人と充実している。
 毎回の事ながら目移りして何を買うか迷うが、初回なので店のスペシャリテと聞く「ピクシー」、パティスリーの基本商品であるシュークリーム(この店では「シューパリジャン」の名)にモンブランの3種類を選んだ。
 値段は地域の他店と較べると高目、この立派な店構えとスタッフの多さを考えると仕方ない事か。店員さん達の対応は笑顔で感じがいい、少し年配と思う女性はシェフの奥さんだろうか?売場女性はマロン色と云うかチョコレート色のユニフォームが皆似合う(笑)。

 実際に食べた印象は以下のとおり、
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・モンブラン(税別430円)
 自転車の前カゴには入れず注意したつもりだが、少し傾いてしまった、実際にはもっと綺麗に自立している(笑)。パティスリーのモンブランは寿司屋の鮪握りみたいなもので、これが美味しくなければ駄目だと思うが、表面の栗クリームと中の生クリームのバランスは良好、ベースはメレンゲでもジェノワーズでもなく、パウンドケーキみたいな焼き生地を使っているのが珍しい、安定の美味しさと云う印象。

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・ピクシー(520円)
 イングランド・コーンウォール地方での「妖精」の呼び名だが、日本ではストイコビッチを連想する人が多いのでは?(笑)。WEB情報によるとこのケーキが、コンクールでの優勝作品だそうだ。表面のムースはピスタチオ、中に苺のジュレとクリーム、上には苺と煎ったピスタチオ。さすが優勝作だけあって味のバランスは見事、ピスタチオの脂分を苺の酸味が中和し、緑の中から現れる赤の色合いもいい、私がコンクール審査員でも高採点を付けると思う、この店へ来たら初回には買うべきアイテム。

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・シューパリジャン(240円)
 以前にも書いたが、モンブランが鮪握りなら、シュークリームはカッパ巻きみたいなものだと思う(笑)、パティスリーの実力を知るには一番のアイテム、この店では「シューパリジャン」と呼んでいる。堅いシュー生地の中に上質なクリームで美味しい、最近食べた中では竹ノ塚「エデュー」と双璧と云えそう、エデューの方が少しクリーム分は濃い気がしたが、優劣より好みで選べばいいと思う。

 全体的にはどれも瑕疵がなく安定した上質な出来、人気店の実力を知った思いだ。ただこれは個人的感想だが、パティシェ一人だけで作る「エデュー」や東和「アンティーム」等に較べると、スタッフ数人の手を経た工房作品と云う印象も持った。
 これはレストランの料理やデセールにも云える事だが、数人の手を経て作るか、一人で全てを作るかによって、完成品の傾向は違って来る、スタッフを多く雇えば当然値段にも反映する。安定と完成度を選ぶか、出来不出来の差はあっても値段と個人作品ならではの手作り感を選ぶかは、客側が判断すべきだろう。

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 誰にでも勧められるパティスリーの良店である事は間違いない、金町近辺に行く事あれば、寄り道して行く価値ある店だと思う。
 

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東麻布「ローブ」 (2017年5月)

 GW中の「友、遠方より来たる」シリーズ(笑)、今回も在関西の友人夫妻で、訪問店のリクエストもあり、それが昨年6月末に開業し、直後の7月初旬に訪れた東麻布のフランス料理「ローブ‘L'aube’」だった。
 此の店は夜営業が中心で、毎週金・土だけランチをやっているが、今年開店後初のGWなので、期間中ランチとそれに続くデセールタイムを営業、企画に便乗する事になった。私も冬場に行きたいと思いながらも季節が過ぎてしまい、ようやくこれで念願の再訪問が出来る。
 店に一番近い駅は都営大江戸線の赤羽橋だが、乗換えが不便なので麻布十番駅で待合せ歩いて行く事に、天気は快晴で絶好のフレンチ日和だ(笑)。
 店の入って居るビルは昼間見ても隠れ家的、2階店舗へ上がる階段が一種の「結界」になって、俗世界から非日常空間へトリップする印象。サービス担当の関氏に挨拶し、オープンキッチン近くの席に案内される、劇場なら舞台上手前のかぶりつき席になる(笑)。
 着席後に関氏より料理の、平瀬パティシェールからデセールの説明がある、GW期間中のランチは標準仕様の肉料理が山形豚、これを仔羊または仔牛にプラス料金で差替え可との事なので、私は輸入解禁されたばかりのシストロン産仔羊に決めた。
 続いてデセールだが、通常だとチーズムースと赤果実の一品だが、デセールタイム用のアシェットデセールなら差替えまたは追加可との事、暫し悩んでいたら、平瀬氏より「皆さん食べられるのなら、追加分を3種類分けてお出ししましょうか?」と素敵な提案があった(笑)、これに乗らない訳はなく、即答で「お願いします」と応えてしまった。これはデセールタイム用の準備があったからで、お願いすればやってもらえる訳ではないです(笑)、いかに優秀なパティシェでも材料が無ければ作れません。

MUNU HARMONIE
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・高知レモンのジュース

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・シラスのオムレツ

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・アーティショー、桜肉

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・緑アスパラガス、レモングラス

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・自家製ブリオッシュ2種

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・土佐ジローの卵、長谷川マッシュルーム

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・天草産鱸のヴァプール、鎌倉野菜、ソースヴェルデ

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・シストロン産仔羊、シュクリーヌレタス(+1,400円)

 今橋料理長による第一幕は、レモンジュースの鮮烈な酸味で始まる、「目を覚ませと呼ぶ声が聞こえる」感じだ(笑)。一口サイズだが、シラスオムレツ、アーティショー、桜肉のトリオはよく考えられて、味の印象を残す。続く野菜料理は農業従事経験ある今橋氏の得意分野、春の香りと色が印象深い。玉子料理はおでん種の「バクダン」みたいだが(笑)、シャンピニオンピュレとの相性抜群、これは発想の勝利だと思う。
 魚料理はこの日最も今橋氏のセンスを感じた皿、鱸に添えたソースヴェルデがフランスで味わう時みたいに、各素材が日本的に慣れ合わない香りと味で、「これは南仏」と感じた。
 16年振りと聞く国内での仏産仔羊は盤石の美味しさ、本心を言ってしまうともっと量が食べたかったが、この後のデセール展開を考えると、これで丁度良かった(笑)。

 第二幕は平瀬劇場、まずは圧巻の4品をご覧ください。
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・フロマージュ 赤い果実

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・黒オリーブ タイム(後でタイムのソルベを添える)

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・リュバーブ レティエ

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・花菜ローズ マンゴー

 細かい解説は「蛇を画きて足を添う」になりそうなので止めておく(笑)、味わえなくても見て感じてください、味やデザインで4皿のレベルが高い事は勿論だが、出来不出来の差が無い事にも感心する。去年のブログ総集編で「最も印象深かった一品」として、平瀬氏のデセールを挙げたが、その後超える皿に出会う事を期待しながらも、何処も及ばず相当差があった、日本で彼女を超えるのは彼女自身しか居ないのかも知れない。
 オープンキッチンなので作業が見えるが、この複雑な仕様の4皿をエスプーマや液体窒素みたいな、料理人なら使いがちな飛び道具を使わず(たぶん)、仕上げの殆どが手作業。そして窓からの自然光を受け、彼女がポシュ(絞り袋)を手にする姿は何とも格好いい(笑)、此処にフェルメールがいたら、「絞り袋を持つ女」のタイトルで傑作を描き、数億いや数十億の価値ある絵になるのに残念だと、実に俗な事を考えてしまった(笑)。

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・ショコラ4種(もちろん自家製)
・水出し珈琲

 今橋&平瀬両氏の料理とデセールは前店から通算して3回目だが、更に良い方向へ変化していると思う、そして此処で留まらず進化して行きそうな力量を感じさせる。これから東京で注目すべき一店だと思う。
 関西から柏市経由?で来た友人夫妻も充分満足されたみたいで、今橋料理長、平瀬パティシェール、関メートル、手厚い対応をありがとうございました(笑)。


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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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