最後の晩餐にはまだ早い


御徒町「ヴェヌス サウス インディアン ダイニング 御徒町店」

 このブログでは、上野・御徒町のインド・ネパール料理店を「ハリマ・ケバブ・ビリヤニ」「アーンドラ・キッチン」「ベジキッチン」「ヴェジハーブサーガ」と記事にして来たが、今回新店がオープンしたとの情報を得て、アメ横へ珈琲豆を買いに行く時に現地確認をする事に。
 店の名前は「ヴェヌス サウス インディアン ダイニング 御徒町店」、やたら長い店名だが(笑)、本店は錦糸町に在り人気店になっているとの事、名前のとおり南インド料理を提供する店だ、御徒町店は今年3月にオープンしている。
 場所は地下鉄日比谷線仲御徒町駅を出て、昭和通りに沿って秋葉原方面へ向かうと左側に交番があるが、其処を左折し最初の道を左に曲がればすぐの二階屋、外装は派手で目立つが、新築ではないから元は何かの商店か?

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 上野・御徒町にインド料理店が多いのは、元々JR御徒町駅南側に宝石商が集結していて、インドやスリランカ等から宝石バイヤーが多く訪れ、彼等のための店が出来たからと云われている。その後秋葉原にIT関連企業が進出、数字に強いインド人ビジネスマンが増え、彼等のためにインド料理店が出来る、最近では上野~御徒町~秋葉原間には、数えきれない位インド・ネパール料理店が増えた。
 御徒町は以前JR御徒町駅周辺に店が多かったが、最近は東進して昭和通りを越え広がって来ている(笑)。

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 店前に掲げてあるランチメニューだが、ホワイトボード手書きなので少々判り難い、「Niboshi Nasu Kuruma ニボシ ナス クルマ」は謎だ(笑)。

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 開店時間の11時直後の入店だが、既に一人食事中だった、1階は10席位だが2階にも客席があり、店の造りは「ベジキッチン」に似ている、店の人は全てインド系みたいで、ヒンディー語なのかタミル語なのか不明だが英語以外で話していた。

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 ランチメニュー、セットはA~Cの3種類で、その他は「ドーサセット」と単品の「カレーライス」、せっかくだからと一番値段の高いCセット(税込1,000円)に決めた、内容はノンベジカレー3種、2種の日替りベジカレー2種、ラッサム、サラダ、スイーツ、スナック、ライスにナン・プーリー・ドーサのうち一種と盛り沢山。

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 注文後あっという間に出て来た、早い(笑)、メニューには書いていないが、これはどうみても南インドの定食と云われる「ミールス」だ、なお北インドでは「ターリー」と呼ぶそうで、日本なら「幕の内弁当」と「松花堂弁当」の違いみたいなもの?

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 左半分は下から「ラッサム」「チキンペッパー」問題の「ニボシ ナス クルマ」「キーマと豆」だと思う。

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 右半分は下から「とうがんと豆」「ミックス ベジ マサラ」にサラダ、タピオカデザート、一番奥が「スナック」とあったが謎のフライ(笑)、大豆グルテンみたいな食感だった。真ん中は日本米を炊いたご飯。

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 少し遅れて来たのが「ドーサ」、米と豆を擂り潰し平たく焼いた南インドのガレット?独特の風味があって、なかなか美味。

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 ラッシー、ランチドリンクはこれしかないみたいだ、味はごく普通でした。

 各カレーの味は割とマイルドで穏やかなもの、個人的にはもう少しスパイスを効かせ、味のエッジが立っている方が好みだが、これは日本人それもランチタイムに合わせていると思う。ライスが日本米なのがちょっと残念、ミールスにはやはりバスマティ米の方が合う、ドーサをランチで提供する店は少ないので貴重。細かい事を云えば幾つかあるが、この内容で千円ポッキリなら、まあ満足出来る、「ニボシ」はよく分からなかったが(笑)。
 ビジネスエリアでインド料理店が増えているのには理由がある、サラリーマン&OLのランチは時間が勝負だ、オフィス⇒店⇒オフィスを1時間以内に収めないといけない、店に居られる時間はせいぜい20~30分位、インド料理は注文してすぐ出せるのが強みだ。同じ千円ランチでも「必ず1時間以内に戻れる」が確実な店は客として安心、他の業種、特にフレンチや、パスタを茹でるイタリアンはこうは行かないから、まず勝負にならない(笑)。

 食後は時間があったので、そのまま近くに在る「日本で二番目に古い商店街」とされる佐竹商店街へ行ったのだが、この話は次回の記事にしたいと思う。


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西麻布「ル・セヴェロ・ジャポン」(2017年8月)

 この日、乃木坂の「国立新美術館」(毎回思うけど、この名前もう少し何とかならないのか?(笑))で開催していた「ジャコメッティ展」を観に行った、針金を繋ぎ合わせたみたいに、余計な物を全て削ぎ落した細い人物彫刻で知られる、20世紀を代表するイタリア系スイス人の彫刻家、第二次大戦後主にパリで活躍した。日本人哲学者矢内原伊作との交流で知られ、彼をモデルにした多くの彫刻や絵画が残されている。
 彫刻は三次元芸術なので、写真ではなく実物を見ないと本当の良さは理解できない、彼の孤独や哲学が伝わって来るいい企画展だった。(9月4日で会期終了)
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 せっかく都心へ出るのだからと、適当なランチ場所を事前に探したが、一番便利なのは美術館内のレストラン、2007年の開業当時には行列が凄かったのを覚えている。WEB上でメニューが公開されているが、値段と料理内容を見ても正直気乗りしない、私みたいに遠路?を辿り着いて、メインに「鶏のコンフィ」は正直ないだろうと思ってしまう。
 近くでもっといい場所は無いか?と探していたら、地図を見ると西麻布が意外に近い、「そうだ『ル・セヴェロ』へ行ってみよう」と閃いた。去年9月にやはりランチで訪問して以来で、店には旧知のサービス担当宮脇氏が居るので、昔話になりそうだが(笑)、彼とも約1年ぶりに会える。

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 予約どおり昼の開店時間12時に合わせ入店、店内の様子は去年と変わらないが、開業以来の料理長が独立?のため抜けたので、キッチンは若いスタッフで回しているみたいだ。2階の客席に上がり、宮脇氏に挨拶し眺めのいい窓際席に座る。

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 ランチメニューは前回と殆ど変わっていない、ランチプレートは基本2,500円で前菜+メインと食後の飲物込、料理によってはプラス料金の皿もあり、デセールは別料金、ランチタイム限定のグラスワイン、ビール等は一杯500円とリーズナブルだ。
 前回は前菜にスペシャリテの「パテ・ド・カンパーニュ」、メインに「熟成ランプ(ステーキ)」だったので、今回は前菜に「夏野菜のビスマルク仕立て」(+500円)、メインに「北海道産 熟成短角牛サーロイン 200g」(+1,000円)をお願いした。
 昔より人出は少なくなったとは云え、夜はそれなりに賑わう西麻布も昼間は人通りが少ない、飲食店も夜だけ営業の店が多く、ランチ営業している店はありがたい、周りが静かなので外国人で賑わう銀座より落ち着いて過ごせる(笑)。

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・夏野菜のビスマルク仕立て
 ビスマルクとは元Jリーグ選手ではなく(笑)、「鉄血宰相」と呼ばれた19世紀のドイツ人だが、大の玉子好きだったので、目玉焼きを乗せた料理をこう呼ぶ事が多くなったと伝えられる、今回はラタトゥイユの上に卵を落としてオーブンで焼いた料理、ごくシンプルだがこれが妙に美味しい(笑)、レストラン料理と云うより家庭料理みたいで、フランス人が云う「おばあちゃんの味‘goût de grand-mère’」だと思う。

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・北海道産 熟成短角牛サーロイン
 北海道で飼育されている「八雲牛」との事、約一ヶ月熟成だそうだ。サーロインだけあって脂身が旨く、黒毛和牛とは味わいが違う、噛んで味が増すので「すき焼き」には向かないと思う(笑)。前回も感じた事だが塩&胡椒の味付けで十分、約200gだが食べ終わる頃には結構お腹一杯になる。
 前回以上にガルニのポムフリットが美味しい、「北海こがね」と云うジャガイモを2年間貯蔵して使うそうだが、甘味が強くてまるで大学芋かと思う位、初めて食べる人に「これサツマイモだよ」と云っても殆どの人が信じると思う(笑)。

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・デセールメニュー
 フランス料理はやはりデザートが食べたくなるもの、前回は「ブランマンジェ」だったので、今回は「ゆずのタルト」にした。

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・徳島 有機栽培“木頭ゆず”のタルト
 「木頭ゆず」は徳島県那賀郡木頭地区の山間地で生産される有機柚子、この酸味を生かしたタルト、見かけはいかにもフランスのビストロデザートだが、味わいは甘さを抑え日本的な繊細さを感じる、柚子の酸味が尖っているがいいアクセントになって、これはブランマンジェより気に入った(笑)。

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・コーヒー
 宮脇氏によるとコーヒーも有機栽培豆使用との事、美味しかった。

 約一年ぶりの訪問だったが料理良かった、特にランチはお得だと思う、ステーキチェーン店で美味しくない輸入肉食べるなら、此処のランチプレートが断然お勧めだ(笑)、ただ日曜休みなのがサラリーマンには辛い処だが。
 宮脇氏とはやはり業界の昔話になってしまう、今年初めにPARISの本店「Severo」で研修して来たそうで、色々と得る処多かったそうだ。

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 あまり詳しくは書けないが、この店も新たな展開を計画していると聞く、今後も楽しみだ。特に新美術館からの散歩コースはいいと思う、まずはランチからでも訪れてみる事をお勧めしたい。


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亀有「リフージョダイニング・オリーブ」※残念ながら9月15日で閉店されました。

 地元の足立・葛飾の飲食店は関心度が低いからか、ブログ記事にしてもアクセス数が伸びない傾向がある(笑)、特に今回は今年開店したばかりで、例の口コミサイトにも書き込みはない、それでも「応援したい」と思わせる店だったので、紹介しておきたいと思う。
 店の名前は「リフージョダイニング・オリーブ (Rifugio Dining OLIVE)」、イタリア料理をベースにしているが、昼は洋食メニューのオムライスが中心。
 WEB上で実家のある亀有の飲食店情報を調べていて偶然に見つけた、動画サイトのYoutubeで店主が作っているオムライスの動画が公開されていて、見て「これ、旨そう」と直感に訴えるものがあった(笑)。
     
 開店は今年2月、店の近くは自転車で通った事があるのに気づかなかった、夫婦二人でやっている小さな店らしく私好み(笑)、とにかく行ってみようと思った。

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 店の場所はJR亀有駅北口を出てバス通りを直進する、5分くらい歩くと右側に有名なコッペパンの店「吉田パン」があるので、其処を右折して進めばすぐ左側に在る。この店舗は以前「箸で食べるフレンチ」を標榜する店で、一度だけ利用したが何時の間にか撤退してしまい、その後に入ったみたいだ。

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 イタリアンカラーの提灯(笑)、料理人はイタリア料理出身みたいだ、店名にある「リフージョ(Rifugio)」とはイタリア語で「隠れ家」の意味。

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 黒板のランチメニュー、昼はオムライスが中心でパスタ等はない。

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 店内に入ると12席の小さな空間、前店は雑然としていたが、改装して綺麗になったと思う。

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 キッチン側、上の黒板には夜の料理が書いてあるが、サラダ類、肉料理やパスタ等、リストランテと云うよりバル的なメニュー。中はコックコート姿の若い長身男性が一人、店内はたぶん奥様だろう、小柄で可愛らしい女性が担当している。
 ランチメニューは「ふわっとオムライス」(飲物付きで税込880円)、「濃厚・エビクリームオムライス」(同1,080円)、その他に「本日のランチ」(同1,180円)が2種、この日は「オムライス(小さめサイズ)&ポークカツ」と「オムライス&ハンバーグ」だった。この中から「オムライス&ポークカツ」を選び、更に「デザートプレート」(350円)もお願いして、出来上がりを待つ事に。

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 他に客がいなかったので、料理は割りと早く出て来た、ワンプレート形式。

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 オムライス部分拡大

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 ポークカツ部分拡大、ソースは黒胡麻と味噌がベースとの事。
 さすがスペシャリテ?だけあって、オムライスは見た目綺麗で美味しい、外側のケチャップが多すぎる気もしたが、中身の味付きライスとオムレツの繋がりはいい。ポークカツもキチンと作ってある、胡麻味噌ソースは濃い目の味だが、これが東京下町ならでは(笑)。

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 デザートプレート、左から抹茶のシフォンケーキ、トウモロコシのジェラート&キウイ、
コーヒー風味のブランマンジェ。
 見た目も味も悪くない、料理人はそれなりのレストランで働いていたと思う、しっかりとした技術あると感じた、コーヒーも美味しかった。
 特にオムライスが良かった、ここ数年で私が食べた中では、春日「ツムラ」、北千住「キッチンエッグス」と共に、三指に入れたいと思った位。痩身で寡黙そうな店主と感じの良い奥さんのコンビは、応援したくなってしまう(笑)。

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 少し日を置いて再訪問する事に、この時は「オムライス&ハンバーグ」をお願いしてみた、オムライスは変わりなく美味しい、ハンバーグは茸入りのデミグラソース、このソースがしっかり味で、ベースのドミグラスもキチンとしたものだと思った。ただこの日は土曜日だったので、前回あった平日サービスの100円引きがなかった(笑)。
 外食特に個人店には厳しい時代だが、あえて独立開業した若い人達は何とか続いて欲しいなと願ってしまう、定期的に行ってみたいと思った店。
 もし近くに行く機会があれば、一度寄ってみて下さい(笑)。

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東麻布「ローブ」(2017年8月)

 前記事に続いての「友、遠方より来たる」は、同じく関西からの客人を迎えての、東麻布のフランス料理「ローブ」でした。私は昨年7月にオープンした直後に初訪問、今年の5月に再訪問を果たし今回が3回目になった、遊郭用語ではこれで「馴染み客」になる(笑)。
 通常営業では夜中心で金曜と隔週土曜日だけのランチ営業だが、8月は特例で平日もランチタイム営業する事を知り、それに乗せてもらう事に。
 麻布十番駅から歩いて到着、隠れ家みたいな階段を上って2階へ、サービス担当の関氏に挨拶しオープンキッチンに近い席に案内される。旧盆中の月曜昼、空いているのでは?と思っていたら、次々と来客があり5卓埋まった、中には知っている顔も居たが(笑)、平日でこれだけ来れば、スタッフもランチ営業する意義があったと安心すると思う。
 平瀬パティシェールと今橋料理長にも挨拶し、始まった昼メニュー、基本だと肉料理は豚だったが、プラス料金で鶉料理に変更してもらい、さらにプラスしてデセールを2品にしてもらう事に、この店へ来てデセール1品だけで帰るのはあまりにも勿体ない(笑)。

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・ウェルカムジュース(葡萄)

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・フレッシュハーブのアイスクリーム

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・この日夏風邪のため体調イマイチで、味わいが好きな福島県奥会津金山の天然炭酸水を

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・塩味のフィナンシェ

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・スペルト小麦とトリッパのクロケット

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・マグロ、生ハムとフェンネル

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・長野産夏茸、ソースサヴァイヨン、上にイタリア産サマートリュフを削って

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・アオリイカ、ケールの葉、粉末とピュレ、ストックフィッシュ(干魚)のソース

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・ウズラのファルシ、無花果の葉の包み焼、無花果とコンフィチュール

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・ババ、ピニャコラーダ、パスティスのクレーム

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・桃のコンポート、バラ花のアイスクリーム

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・宝石箱をイメージした自家製ホワイトチョコ、中はアイスクリーム

 今回の今橋料理からイメージしたのは「夏」、それも湿気の多い日本の夏ではなく、抜けるような青空の南仏での夏、思わず「ああ、太陽がいっぱいだ」と呟きたくなる(笑)。
 ウェルカムジュースからコロッケまでのアミューズは、どれも一口サイズながら印象を残す、特にコロッケはお替りしたい位に好みのツボだった(笑)。
 前菜の鮪の皿は見た目も麗しい一品、オープンキッチンなので製作過程が見えるが、最後のドレッセ(仕上げ)を平瀬さんが担当、だから余計に美しく感じる(笑)。仏サン=ティティエンヌ近郊に在って、現在はリヨン市内に移転した「Le Neuvieme Art」の料理を思い出す、あの料理長もパティシェ出身だった。
 続く茸料理は素材の勝利と云う印象、もちろんそれを生かす技術があってこそだが、ブイヨン等は使わず、炒めただけの茸からこれだけ旨味を感じさせるのは、料理はまず素材ありだなと思う。
 アオリイカ料理も今橋氏らしいと思った皿、日本で烏賊をメイン食材にする料理人は少ない、私の記憶では三田「コートドール」のカルトにあった位で、なかなか難しい材料だと思うが、珍しいケールと干魚のソースと合わせる事により、十分ガストロ料理になっていた。ウズラも今橋氏が得意な、葉を使った包み焼きをする事により、肉の旨味を閉じ込め葉の香りを加えている。黒イチジクとコンフィチュールがいい相性だった。
 今橋氏の料理からはフランス料理の基本「素材の足し算」を感じる。Aと云う要素があって、其処へ別のBの要素を加える、計算結果はAでもBでもなく、Cと云う新たな味になる。彼と同じく「南」を感じさせる料理人に、札幌「プロヴァンサル・キムラ」の木村料理長が居るが、年齢が十歳以上離れている事もあり料理の構成は違う、日本で南仏を感じたい人は、出来れば両方の店へ行って確認して欲しいと思う(笑)。
 そして今回も楽しみにしていた平瀬パティシェールのデセール2品、毎回だが彼女の「作品」に余計な解説を加えるのは野暮な事と思ってしまう(笑)、未体験の人には「一度行ってみて、そして感じて下さい」としか云えない。今橋料理と同じく多くの要素を使っているのだが、根底にあるのは「調和(harmonie)」、マッチョな男性料理人がゴツゴツとした手で作るデセールとは根底から違う、リキュール類を使っても尖らずに他と融合し、マリー・ローランサンやいわさきちひろが描く絵みたいに、全体が母性的に優しく、いつまでも此処に留まっていたいと思わせる安心感と温かさがある、全ての男性にとっての憧れ、聖母子像みたいな印象(笑)。

 食後、席に挨拶に来た今橋料理長に、料理の感想と共に「フランス料理って、儲からないですね」と思わず話してしまった(笑)、まず設備投資にお金がかかるし、機械類が故障した時の予備費も用意しないといけない、「包丁一本、晒に巻いて」では通用しない(笑)。高原価な食材を使っても競合同業種の多さから、余程の有名店でもなければ突出した客単価は取れない。今橋氏も同意して「儲けを考えたら出来ないですね、一種の文化還元的活動と思わないと続かない。」との言葉だった、客側としては嬉しいが、作る側はある意味自虐的だ(笑)。
 3回目のローブだったが、来る毎に進化していると思った、作り手が2人居るからエンジンが2つある、スタートからの加速も早いと感じる(笑)、次回も楽しみだ。

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六本木「ル・スプートニク」(2017年8月)

 5月の連休時以来の「友、遠方より来たる」で、今回は六本木のフランス料理「ル・スプートニク」のランチへ同行する事になった。
  2020年の東京五輪を控え都内ではホテル建設ラッシュで、既に竣工し営業を始めたホテルもあり、国内外へ向け宿泊客を受け入れている、特に旧盆期間中は都内人口が減るので、そこへ客を呼び込もうと、旅行会社も各種パッケージ旅行を企画している。今回同行する友人夫妻も、六本木交差点近くに最近出来た高層ホテルに宿泊、そこへ迎えに行ったのだが、エレベーターを出入りするのは外国人特にアジア系の人が大半、昔から六本木は外国人が多かったが、今は街から「溢れ出している」感じだ(笑)。
 歩いて5分もかからず店に到着、綺麗でハイソ風なマダムのグループと重なったので、彼女達に先を譲って続けて入店、田村支配人に挨拶し入口近くの4人卓へ案内された。
 私は先月に同じくランチで利用しているので、料理が変わっているのかいないのか、その辺りも楽しみだった、まずは料理全品をお見せしたい。

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・一週間熟成の甘鯛、チェンマイレッド、青林檎とホワイトセロリ

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・枝豆のチュロス

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・鮎のヴルーテ、パン・ドミーで挟んで焼いた鮎、メロンと胡瓜

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・スパイスのチュイル、フォアグラ、マンゴーパッション、ビスキュイショコラの土

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・ハモのクネル とうもろこし“ミライ”のソース

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・オマールと埼玉県産鶉のバロティーヌ、自家製セミドライトマト 、合わせたジュ、シェリーヴィネガー

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・マハタのポワレ、キャベツ、ブラックオリーブのソース

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・エゾ鹿のシヴェ、自家製セミドライピオーネとロックフォール、ジェニパーベリー

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・桃のコンポート、紫バジルの液体窒素

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・今は貴重なダージリンファーストフラッシュ

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・抹茶と和三盆のシューアラクレーム、焙じ茶のブランマンジェ

 甘鯛は前回とほぼ同じで、これは自信があるのだろう、次の枝豆チュロスも夏のスペシャリテ、鮎は前回とは違いフィレ身をパン・ドミーで挟んで焼く手のかかったもの、ヴルーテが後を引く旨さ、これ以降の料理は先月とは全て違った。ファアグラ&マンゴーは特に惹かれた皿、フォアグラテリーヌをマンゴーと合わせチュイルで挟み、下にショコラのパウダーと手の込んだものだが、有機的繋がりがあって、この組合せの必然性が理解出来た、ビジュアルも抜群。
 鱧料理はミライコーンの甘さが印象に残る、次のウズラはオマールを加える事により味が立体的になった、魚料理のマハタは西日本でよく使われる高級魚、肉質を生かしシンプルに調理、イカスミか?と思わせる黒オリーブのソースが合っている。
 そしてこの日一番印象に残ったのが夏鹿のシヴェ、シヴェと云っても煮込んではいない。まるで出来立ての餅かと思うような、舌に絡みつく鹿肉の食感に驚く、この火入れは一世を風靡したロブション「仔羊のパストラル」の真空調理を彷彿させる。食後高橋氏に調理について質問したのだが、さすがに詳しくは教えてくれなかったが(笑)、「超アナログな調理法です、おそらく僕だけしかやっていないでしょう」との答えだった。
 デセール&ミニャルディーズは安定の美味しさ、これはビストロではないガストロノミーレストランの、お金を取れるデセールだ。

 さすがは高橋料理長、今回は事情があり時間的制約があったのだが、その中でもこれだけ起承転結があり、各料理に手間をかけ、時間を開けないで出せるのは実力だろう、そして料理を食べていて、彼の本質はやはりフランス料理だと理解出来た。
 モダンスパニッシュや北欧の料理流行後、フランス料理店でも国籍不明で不思議な料理に出会う機会も増えた、作ったご本人は「最先端の料理です」と云いたいのかも知れないが、「あなたのオリジンはフランス、スペイン、北欧、日本、どれなのですか?」と、思わず訊いてみたくなってしまう、「どれでもありません、『私の料理』です」との答えが返って来そうなので訊かないが(笑)。
 高橋氏の料理はそうした場当たりを狙ったものではない、まずは食べて美味しいし、デザインも洗練され、食べ終わった後に「今日はいいフランス料理だった」と思う。

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 前回は平日だったので男性客が多かったが、この日は土曜日のためか女性客が多かった、あくまでも一般論だが、男性は料理を量やインパクトのある味で評価し、女性はビジュアルの良さや繊細さを感じる味で評価する傾向があると考えている、どちらも満足させる料理は難しいのだが、この店は上手く両立していると思った。
 「今、東京フレンチでお勧めは?」と訊かれたら、ロケーション、料理、女性二人の柔らかなサービス、値段、比較的予約が取り易い事を含め、まず名前を挙げたい一店。
 高橋料理長、田村支配人、お気遣いありがとうございました、遠路?からの客人達も喜んで帰ったと思います(笑)。


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プロフィール

オンクレ・トシ

Author:オンクレ・トシ
一般的に云う「グルメブログ」ではありません、店の点数評価等はしません。食の現場に集まる「人」を描きたいと思っています、もし読んで何か不快になる事があったとしたら、筆者の表現不足によるものでしょう。
出没地域は地元の東京足立・葛飾周辺、上野、秋葉原、たまに表参道、麻布十番等。
混雑電車が苦手なのと現在失業中によりランチ行脚がメインです。更新は週2回が目標。
ブログの品位を維持するため、コメント欄は承認制にしています。

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